h1タイトル

わくわく・共感できる長野の元気情報を配信します!

ナガラボはながのシティプロモーションの一環です

No.463

加藤

尚史さん

白玉蘭〈モクレン〉料理長

本格中華をベースに提供する、日常に寄り添う一皿

文・写真 石井 妙子

国道19号線沿いの見晴らしのいい高台に立つ、木の温もりあふれる建物。カフェ、はたまたレストラン?と思いきや、実は中華料理店。
2018年12月にオープンした「白玉蘭〈モクレン〉」です。オープン当初からほぼ宣伝を行っていないにもかかわらず口コミで人気が広がり、瞬く間に行列ができる人気店になりました。

こちらの料理長を務めるのが、この道25年の加藤尚史さん。かつて市内の老舗中華料理店で料理長として活躍した大ベテランです。

子どもからお年寄りまで喜ばれる味を

「どの世代にもくつろいでもらえる店」が「白玉蘭〈モクレン〉」のコンセプト。コース料理からキッズメニューまで豊富にそろい、家族3世代で訪れても楽しめます。餃子に麻婆豆腐、エビのチリソース、ラーメン、五目あんかけ焼きそば……。本格中華をベースに定番メニューをしっかり網羅していますが、共通しているのは「子どもからお年寄りまで、おいしく食べられる味」であること。


▲辛みと酸味がちょうどよく調和する「酸辣湯麺(スーラータンメン)」(税込1,012円)


▲日当たりのいい高台に立つ店舗。南側のテーブル席では、市内の街並みと山の眺めを楽しめる

「お出ししているのは本格的な中国料理ではなく、いわゆる“中華料理”です。本場中国の料理は確かにおいしいんですが、私たちになじみの薄い香辛料や油をたっぷり使ったものも多い。そうした強い部分は抑えて、日本人の口に合うようにアレンジしています。できるだけたくさんの方においしく食べていただける料理が一番だと考えていますね」

特にランチタイムは、行列ができるほどの人気ぶり。メイン料理を少しずつ3種類も楽しめる「レディースランチ」が大人気で、女性グループの来店がとても多いそう。
通常のランチセットは全4種類。なかでもオーダー率ダントツ1位が「酢豚」です。まずは、食欲をそそる色鮮やかで艶めいた見た目にほれぼれ。口に入れると、爽やかな酸味とともにジューシーな豚肉と野菜のフレッシュな味わいが溶け合います。味わいの秘訣は、特製の国産赤酢で仕上げること。


▲ランチで大人気の「酢豚」(ランチセット税込990円)

この酢豚は、加藤さんが駆け出しの頃から22年間務めあげた老舗中華料理店で習得したレシピなのだそう。

「調味料はシンプルですが、赤酢を使うことでコクが出るんです。一般的な酢と、まったく違う風味に仕上がるんですよね」


▲特製の赤酢を使って甘酢だれを一気に仕上げる

もう一皿ぜひ味わってほしいのが、定番のチャーハンです。中華料理店のチャーハンと聞くとガツンと濃厚な味を想像しますが、「白玉蘭〈モクレン〉」のチャーハンはあっさりとしたやさしい味わいが特長。「油っぽい料理は苦手」という人も、自然と箸が進みます。

感動するのがその食感。パラパラしていながらしっとりしていて、食べごたえもしっかりあるのです。

「やっぱり、パラパラしていないとチャーハンじゃないですよね。かと言ってパサパサではいけない。パラッとしているけど適度にしっとりした、スープなしで食べられるチャーハンを目指しています」

▲パラリとしっとりのバランスが絶妙な「五目チャーハン」(税込968円)


▲「チャーハンは、強い火力とちょうどいい卵の量がポイントです」と加藤さん

老舗店でアルバイトから料理長へ

中華の料理人として、キャリア25年を数える加藤さん。この道を最初に志したのは、なんと保育園のころ。
きっかけは一冊の絵本だったと言います。

「ウサギがラーメン屋さんをやっている『ふしぎなおきゃく』という絵本が大好きで、ずっと読んでいましてね。『大きくなったらラーメン屋さんになりたい』と思うようになったんです」


▲加藤さんは東御市出身。現在も東御市に暮らしている

その夢は生き続け、高校時代に進路を決める場面で「調理師になる」と宣言。
卒業後、長野市の「長野調理製菓専門学校」に進みました。在学中は、オールジャンルの料理の基礎を学ぶ日々。

同時に飲食店のアルバイトで仕事を覚えようと考えた加藤さんは、ラーメン店の夢を見据えて中華料理店で働き始めます。

「今になって考えるとラーメン屋と中華料理店はまったく仕事が違うんですが(笑)、学生だったので『まずはいろいろな仕事を覚えよう!』と、料理の幅が広い中華料理店を思いついたんですね。探してみると、通える範囲に1軒だけ中華料理店が見つかった。それが、のちに入社することになったお店です」

楽しかったアルバイト時代を経て、「いつの間にか社員になっていた」と笑う加藤さん。その店での日々は20年以上に及び、最後には料理長を任されるまでに。当時から、“大衆に受け入れられる中華料理”を目指していたと振り返ります。


▲いくつもの調味料を使いこなし、鮮やかな手つきで料理を仕上げていく

「中国料理店ではよく『四川省』『広東省』など、味のルーツの地域を打ち出しますよね。私が働いていた店もそうでした。
でも比較的マニアックな地域だったので、本場の料理を出すことがなかなか難しくてね。それに本場の味にこだわるよりも、“長野の街でどなたも喜んでくれる料理を作りたい”という思いが強かったんです」

正統な味を引き継ぎながら、誰もが楽しめるように工夫された加藤さんの料理は地域で愛され、市内屈指の名店となりました。
しかし2018年、惜しまれながら閉店を迎えることに。そこで加藤さんに声をかけたのが、加藤さんの料理人としての仕事と人柄に惚れ込んでいた一人、「寺島工務店」の社長でした。

「新しいスタイルの中華料理店を作りたい」という社長のオファーを受け、加藤さんは2018年、「白玉蘭〈モクレン〉」料理長に就任。
メニュー考案から調理まで統括する、忙しい日々が始まりました。


▲安茂里の国道19号線沿いの高台に立つ「白玉蘭〈モクレン〉」。道路沿いの白い看板が目印

テーブルも床座も個室も。国産材でくつろげる空間

「白玉蘭〈モクレン〉」の人気の理由は味だけでなく、空間作りにもあります。「どの世代にもくつろいでもらえる店」を目指した店内は、広さを生かしてゆったりと設計。見晴らしのいいテーブル席や落ち着ける掘りごたつ式テーブル、子ども連れでもくつろげる床座テーブル、さらにウィズコロナ時代に安心の個室も完備。
子どもたちが木のおもちゃで遊べる「木育キッズルーム」も大人気です(現在は利用休止中)。

▲子どもと一緒に食事しやすい床座テーブル。仕切りの奥は半個室感覚でくつろげるテーブル席


▲木のおもちゃで遊べるキッズルームで子どもたちも退屈しない(現在は利用休止中)

設計と施工は、オーナーが経営する工務店。神社仏閣の建築業をルーツとし、木造建築に特化した同社のこだわりが生きた店内は県産材がふんだんに使われ、モダンなデザインながらホッとする雰囲気。
椅子や床の肌触りもよく、リラックスして過ごせます。


▲引き戸で区切れる個室。落ち着いた会食におすすめ

2階には、宴会や法事に貸し切りで使える広いホールも完備。無料送迎バスも利用できるので(条件あり)、駅から離れた立地でも大好評なのだそう。

「ここには繁華街では得られない豊かな眺望があるし駐車場も広いから、ご家族連れや宴会のニーズにも十分応えられます。長野駅前で多くのお店に埋もれてしまうより、要望に幅広くお応えできる店にしたいと、オーナーと話し合いました」

コロナ禍だからこそ、新しい挑戦を

人気店となった「白玉蘭〈モクレン〉」ですが、コロナ禍以降、やはり足を運ぶお客さんの数は減っています。店内の感染対策を徹底するのはもちろん、この逆境を機に加藤さんたちは新しいチャレンジを始めていました。

例えば、人気メニューを家庭で作りやすいレシピにアレンジして紹介するYou Tubeチャンネルの開設。動画では加藤さん自ら厨房に立ち、コツも含めて分かりやすくレクチャーします。

「家庭で本格的な中華料理を作るのは、正直難しいんです。火力がいるし、調味料を揃えるのも大変ですから。もちろん私たちのお店で食べていただければ嬉しいですけれど(笑)、やはり今の時代、外食を控えたい気持ちも分かる。だからこそ家庭でも近い味を楽しめるよう、家にある調味料と道具でできるレシピを紹介しています」

▲人気メニュー「焼売」(3個で税込627円)のレシピもYou Tubeで公開中

テイクアウトメニューもコロナ禍を機に充実させました。人気の「季節の松花堂弁当」や予算に合わせて作るオードブルは通年で提供し、シーズンに合わせて登場するおせちや恵方巻は、瞬く間に売り切れる超人気商品です。

「こんな時代だからこそ、家でもおいしい中華料理を食べていただきたい。今作りたいと思っているのは、いろいろなメニューを少しずつ詰めたコースのように楽しめるお弁当です。大切な記念日に、外食しなくても家で特別な時間を過ごしていただけるような。
店内メニューも、もっと増やしていきたいんです。例えば営業中にチャーシューを焼いて香りを届けたり、『ただいま焼きあがりました!』とその場で販売できたりしたら楽しいですよね」


▲「少人数でもいろいろな料理を食べたい」という要望に応え、2人前で4品を選べる「チョイスメニュー」(税込6,160円)も好評

頭の中にはいつも、「これを作ってみたい」「こんな料理が喜ばれそう」という引き出しがたくさんあるという加藤さん。
コロナ禍でも忙しい日々が続きますが、新しい試みを続けながら、喜ばれるお店を目指しています。

▲夏に向けて新メニューの準備を進めているそう。これからも新しいおいしさを届けてくれるのが楽しみ

(2021/04/19掲載)

人気投稿

  1. 高野洋一さん うどん たかの店主...
  2. 山中瑶子さん 映画監督
  3. 眞田幸俊さん 慶応義塾大学理工学部電子工学科教授...
  4. 三井昭さん・好子さん 三井昭商店...
  5. 星 博仁さん・琴美さん 「中華蕎麦 ほし乃」「麺道 麒麟児」...
  6. 小林 唄さん アーティスティックスイミング選手...
  7. 藤澤正明さん 有限会社プランニング・エメ代表取締役...
会える場所 白玉蘭〈モクレン〉
長野市安茂里小市2-18-5
電話 026-213-8181
ホームページ http://mokuren-c.com

営業時間 ランチ11 : 00~14 : 30
     平日ディナー17 : 30~20 : 30(LO 20 : 00)
     土日祝ディナー17 : 30~21 : 00(LO 20 : 30)
定休日 火曜

長野市人物図鑑
食の達人 ながののプロフェッショナル 旬な人 魅せる人 まちをつくる・つなぐ人 人物図鑑特集
マイ・フェイバリット・ナガノ
場所 イベント モノ グループ・会社
ナガラボムービー

 
特集一覧ページ