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ナガラボはながのシティプロモーションの一環です

No.464

髙橋

奈々・陽一さん

nana tarte〈ナナタルト〉

大好きなタルトをたくさんの人へ。季節で色合いを変える専門店

文・写真 石井 妙子

長野市立図書館の角に立つ、毎日のように行列ができている小さなお店。道ゆく人が「何のお店だろう?」とのぞき込んでいくこちらは、2020年11月にオープンした「nana tarte(ナナタルト)」。髙橋奈々さん・陽一さんご夫妻が営むタルト専門店です。

旬をイメージしてひらめきを形に

開店直後のショーケースには、毎日10種類ほどのタルトがずらり。この日目を引いたのは、旬のイチゴを使ったタルトです。「いちごタルト」「いちごのモンブランタルト」「mixベリータルト」 と、彩りが違う3種類が揃っていました。

どれも人気メニューですが、意外にも「イチゴの季節を過ぎたら、この3種類はおしまいにするんです」と高橋さんご夫妻。理由は、「いつも旬のおいしさを味わってほしい」から。


▲旬の素材を使った色とりどりのタルトに目移りしてしまいます。予約すればホールでも購入可能


▲イチゴとブルーベリー、ラズベリーがふんだんに乗った「mixベリータルト」(1ピース600 円)

今はいつでも何でも手に入る時代ですが、旬を過ぎた素材を使うと、やっぱり本来のおいしさが半減してしまうと思うんです。季節にアイデアをもらって『次はこんなタルトを作ろう』と考えることがすごく楽しいし、ひらめいた瞬間からワクワクしますね。今は、桜をテーマにしたタルトを試作中です」(奈々さん)


▲午前中にタルトが売り切れると一度お店を閉め、夕方にもう一度オープンします。夕方オープンのタイミングでも、お店の前には行列が!

春はイチゴ、秋はリンゴに栗、冬はチョコレートにナッツ。季節に合わせて次々と登場する豊富なメニューが、ナナタルトの魅力です。レシピ考案とお菓子作りは、製菓業界でキャリアを重ねてきた奈々さんが担当。
「レシピの基本は、“自分が食べたいと思うタルト”。『こんなタルトがあったらおいしいだろうな』というところから、イメージをふくらませていきます。タルトの素材にルールはなくて、組み合わせは無限。日常の何気ない瞬間に、パッとひらめくことも多いんですよ。例えば私たちはお酒が好きでよく飲むんですが、おつまみのナッツを食べながら『キャラメルと組み合わせたらおいしいだろうな』と思いついたり(笑)」(奈々さん)


▲左が「キャラメルチョコナッツタルト」(540円)、右が「いちごタルト」(620円)。素材の ひらめきは突然なので、思いついたら忘れないようにメモしているそう

ひらめいたイメージを元に、まずは手を動かしてみるという奈々さん。味、食感、デザイン。すべてのバランスが一発でうまくいく奇跡の瞬間もあれば、何度作り直してもうまくいかないことも。味はもちろん、見た目のかわいらしさにも納得できなければ商品化はしないと決めています。

「私は本格的なフランス菓子の世界は正直分からないけれど、大切にしているのは“おいしくてかわいいお菓子”を作ること。ホイップクリーム一つとっても『丸い形に絞るとかわいいな』だとか、そういう感覚は大切にしています。世界の有名パティシエには男性が多いですが、男性とは違う感覚を生かしてお菓子を作りたいと思っています」(奈々さん)

「例えば同じハートマークを書いても、僕の描くハートはブサイクなんですよ(笑)。女の人は生まれた時から『かわいい』に囲まれているから、やっぱり違うのかなと思います」(陽一さん)


▲旬のフルーツで彩りのバランスを考えながらデザインした「季節のフルーツタルト」(1ピース 600円)

新メニューを考える時は、陽一さんと二人で意見を出し合うのがルール。接客を中心に担当する陽一さんは飲食業界の経験は長いですが、お菓子作りの経験はありません。だからこそ型にはまらず、お客さんと同じ目線で率直な意見をくれるのです。
「私は経験と知識があるぶん、こり固まっている部分があるけれど、夫は素直な感想を言ってくれるからとても助けられています」(奈々さん)


▲長く競技スキーの世界で活躍してきた陽一さん。飲食業の経験が長く、奈々さんとも同僚として出会ったそう

好きだからこそ選んだ道、その喜びと覚悟

新潟県妙高市で、ロッジを経営する両親に育てられた奈々さん。宿泊客に提供する料理やデザー トを作るお母さんの姿を間近に見て育ち、物心ついた時からキッチンに立って手伝うように。自然と、「いつかケーキ屋さんになりたい」と夢を抱くようになります。

数ある洋菓子の中でも大好きだったのがタルト。東京の製菓専門学校を卒業後、初めて働いたのもタルトが人気の都内のカフェでした。そこで3年ほど働いたのち、高校時代を過ごして愛着のあった長野市に移住。「ケーキをきちんと学びたい」と、市内のケーキ店で一から経験を積みました。

その後、県内の飲食チェーンに声をかけられ、デザート部門担当者として元同僚の友人と一緒に企画から手がけることに。この時の会社のリクエストも、「ボリュームもインパクトもあるタルトを充実させてほしい」というものでした。
会社からのイメージや予算の指示を踏まえつつ、試行錯誤しながら形にしていく日々。グループのケーキ店立ち上げにも参加しました。もちろん、会社に所属しているから100%自分の思い通りにはいきません。
けれど、味・見た目・価格のバランスを取りながらベストを目指す経験は、現在に生きています。

▲「タルト以外のお菓子を作ってきたすべての経験が、今に生かされています」と奈々さん

そして2020年。子どものころから夢だった「自分のケーキ屋さんを持つこと」を、夫の陽一さんと二人で叶えた奈々さん。「小さくても自分が大好きなお菓子の店にしたい」と、タルト専門店を始めます。

「タルトはサクサク感が命」。それがナナタルトの信条です。特にこだわっているのが、土台のクッキー部分の素材。低価格のマーガリンを混ぜることなくバターを100%使うことで、サクッとした食感といい香りが生まれ、上に乗せたクリームやフルーツとのコントラストも抜群になるのです。


▲サクサクしたクッキー部分と、チョコ&バナナの組み合わせがおいしい「ショコラバナーヌ」 (1ピース560円)。生クリームをぽってり丸く絞るのもこだわり

実はタルトは、スポンジケーキに比べて膨大な時間と手間がかかるお菓子。クッキー部分の工程数がとても多いことが、その理由です。

生地を混ぜたら一晩冷蔵庫で寝かせ、伸ばして型に入れたら、もう一度冷蔵庫で冷やします。別で作っておいたアーモンドクリームを中に敷いてからオーブンで焼き、さらに冷やす。こうして完成した土台にフルーツやクリームを飾りつけて、ようやく完成するのです。
「一つのタルトを作るのに、どうしても2日以上はかかります。好きじゃなければ、できないかもしれませんね(笑)」(奈々さん)

しかも「ナナタルト」は当初の予想を上回る売れ行きで、開店1時間でショーケースが空になってしまうほど。現在は午前と夕方の2回に分けて営業中ですが、お店がクローズしている間もキッチンはフル稼働。クッキー部分もすべて同じ味ではなく、チョコレート系タルト、フルーツ系タルトなど種類によって味や形を変える丁寧な仕事ぶりです。

「例えば『いちごのモンブランタルト』は、クッキー部分にもイチゴのフレークを混ぜています。 気づく人は少ないけれど、気づいてくれなくていいんです。隠し味みたいに、あるとないとでは何 か違う。その『何か違う』があるからこそ、全体の味が完成すると思うから」(奈々さん)

▲土台にクリームにトッピングに、イチゴをふんだんに使った「いちごのモンブランタルト」(1ピース530円)

夢をかなえた場所、お客様との出会いも宝に

「ナナタルト」オープンにあたってリノベーションした店内は、板貼りの壁にドライフラワーやランタン、さらに陽一さんが愛用するスキー板(!)までディスプレイされて山小屋のような雰囲気。内装や家具は、陽一さんが一部DIYで製作しています。

▲夫妻共通の趣味であるアウトドアグッズやスキー板をディスプレイした店内

「ケーキ屋さんといえば、きれいで上品な雰囲気のお店が多いですよね。僕らはもっと敷居を低く、気軽に立ち寄れる場所にしたくて。男性が入りやすく、子どももワクワクできるような空間を目指しています。
スキー板は、僕が普段使っているものです。今年はお店が忙しくてなかなか滑りに行けなかったので、せめて目で楽しみたいと思って(笑)。春になったら、ディスプレイもガラッと変えたいですね。自分たちの部屋のようにガンガン模様替えして、お客様にも来るたび違う雰囲気を楽しんでもらいたいです」(陽一さん)

▲陽一さんの明るい接客があるからこそ、男性も入りやすい雰囲気に。実際に学生から年配の方まで、男性のお客様は多いそう

オープンから4カ月がたつ現在もお店の行列は途切れず、忙しい日々を送る二人。しかし開業を決めた時は、家族や友人から「二人一緒に独立なんて、大丈夫なの?」と心配されることが多かったと振り返ります。

「確かに、心配する気持ちはすごく分かるんです。でもやっぱり、片手間ではできないことだから。
今までもずっと、自分たちがやりたい道を選んでなんとかやってこられたから、今回も二人で挑戦を決めました。今この時を後悔しないように楽しんで、もしダメでもまた二人で頑張ればなんとかなるよね、と。私の夢を一緒に叶えてくれた夫には、すごく感謝しています」(奈々さん)

素材のフレッシュさにこだわり、通販は行っていないお二人。店頭でお客様と顔を合わせてコミュニケーションする時間が、仕事の原動力になっていると話してくれました。

「お客様の笑顔や『おいしかったです』という言葉は、やっぱりすごく嬉しいです。これからはタルトだけでなく、焼き菓子やプリンにも力を入れていきたい。本当はアイデアの引き出しは頭の中にたくさんあるんですが、今は日々の忙しさに追われて“開かずの扉”になっているから (笑)、もっともっと形にしていきたいですね」(奈々さん)

(2021/04/21掲載)

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会える場所 nana tarte
長野市大字南長野県町477-1
電話 026-219-6773(電話で予約可能。ただし直接来店しての予約がおすすめ)
ホームページ https://nanatarte.com

営業時間(午前と午後の2部制) 
午前/11:00~売り切れまで(最終19:00) 
午後(売り切れ た場合の再販時間)/16:30~19:00 
※事情により変動する場合はインスタグラム、Facebook で告知

定休日 月曜、火曜、水曜

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