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No.455

濱野

友美さん

ユウナギ ごはんと文房具と。 店主

誰もが気軽に立ち寄れる、家族3世代が迎える手作りおにぎりカフェ

文・写真 波多腰 遥

「文房具店時代から足を運んでくれているご年配の方、近所の学校に通う高校生、SNSを見て来てくれたご家族やカップル…。誰もが気軽に立ち寄れて、同じ空間に集うような、あたたかい場所にしていきたいです」
 
そう話すのは、おにぎりカフェ「ユウナギ ごはんと文房具と。」を長野市吉田にこの春オープンした濱野友美さん。両親が昨年まで営んでいた文房具店を改装して、長年の夢であった自分のお店を開きました。店内に流れるゆったりとした時間と、濱野さん手作りのおにぎりが、訪れる人の心をやさしく温めています。

ぬくもりが感じられる店内でいただく自家製おにぎり

暖色の照明と木目を基調とした店内に、外から差し込む自然光。穏やかな空気の漂う店内に入ると、そこかしこに飾られた観葉植物とドライフラワーが目に映ります。内装の一部には、改装過程で出た部材や文房具店時代の什器を活用。積み重ねてきた33年の歴史が垣間見えます。

店内

ユウナギの主力メニューは、濱野さんが握るできたてのおにぎりです。県内有数の米どころである木島平産のお米と、旦那さんの実家がある小諸産のお米をブレンドしたものを使用。前日に玄米から白米へと自家製米して、羽釜で炊き上げます。一つひとつ丁寧に握られたおにぎりは、口当たりのよいやわらかな食感が特長。お米の甘みが口の中に広がります。

おにぎり「じゃこ七味」と「高菜めんたい」
▲濱野さんおすすめの「じゃこ七味」(写真左)と「高菜めんたい」(写真右)。定番メニューから変わり種の味まで幅広く用意しています

おにぎりと味噌汁とおばんざい盛りのセット
▲おにぎりと合わせて注文できる、味噌汁とおばんざい盛りのセット

具材に使う梅を自分で漬けたり、いただいた海苔の端材を佃煮にしたりと、好奇心のままに手を動かすのが好きだと話す濱野さん。おにぎりのラインナップも、オープン当初に比べて増えてきているそうです。

「誰かがやっているのを見ると、自分でもやりたくなっちゃうんです。きっとお店を続けていく中でも色々なメニューに挑戦したくなるだろうから、お店の名前も保険をかけて ”おにぎり” ではなく ”ごはん” にしました(笑)。今後はカレーや丼ものも登場するかもしれません」

メニュー表
▲ メニュー表もすべて手書き。やわらかい文字から濱野さんの人柄が伝わってきます

両親の想いを受け継ぎ、夢だったカフェをオープン

2人の娘を育てながら飲食店で働いていた濱野さんが、自身のお店を開くことを決意したのは2019年6月頃。お父さんから文房具店の閉店を聞いてからだったそうです。

「ひとり娘の私は、幼い頃には文房具屋を継げとよく言われていました。娘たちの子育ても終わってこれからの人生を考えていた頃に、父から店を閉めるという話を聞いて、15年来の夢だったカフェを始めようと決めました。事業を継ぐわけではないけど、この場所なら両親の想いにも応えられるんじゃないかと思ったんです」

店当時の趣が残った店舗外観
▲当時の趣が残った店舗外観。塗装の剥がれた看板からはうっすらと「事務用品 文房具 SHOP ハマノ」の文字が読み取れます

店内の一角には文房具
▲店内の一角には文房具が今も並んでいます。濱野さんが全国各地の業者からセレクトした万年筆やノートが購入できます

お店のコンセプトや手作りおにぎりの提供はどのような経緯で決まったのか伺うと、昨年亡くなられた濱野さんのお母さんとの思い出を振り返ります。

「足腰の悪くなった母とよく一緒に散歩をしていたのですが、途中で立ち寄れるお店がなかなか見つからなかったんです。お洒落なカフェはご年配の方や身体の悪い方にとっては敷居が高いだろうと思いますので、気兼ねなく過ごしてもらえるような、居心地のいいお店づくりを意識しています」

空間だけでなくメニューに関しても、ご自身も食べていて一番ホッとするという和食、そのなかでも誰もが親しみ深いおにぎりを中心に選んだそうです。

濱野さん

母・娘・祖父の3人でつくる、あたたかな食卓

店名の「ユウナギ」は、濱野さんの二人の娘さんから二文字ずつを取って名付けられました。濱野さん曰く、ふっと思いついた名前の語感や意味が、思い描いていたお店のゆったりとしたイメージにぴったりだったとのこと。次女の凪彩(なぎさ)さんも、このお店の落ち着いた雰囲気をつくる1人です。

「お母さんとは本当に友達のような関係で、昔から頻繁にカフェ巡りをするほど仲良しです。私も和食が好きだし、小さなカフェのような場所で働きたいと思っていたので、お母さんからおにぎりカフェを始めると聞いたときには、すぐに一緒にやりたい!と伝えました」

そう話す凪彩さんは当時、由緒ある大きなレストランに勤めていたそうですが、母を手伝うために退職を決意したそうです。

「凪彩とは好きな食べ物や考え方も似ているので、一緒にお店をできたら楽しいだろうと思っていました。仕事を辞めると言ったときはびっくりしましたけど(笑)」

凪彩さん
▲ 実際に働いてみての感想を聞くと「楽しい!!」と即答してくれた凪彩さん。もっとお客様に喜んでいただける工夫を自分から試せるのが楽しいとのこと

親子2人3脚でオープンしたユウナギでしたが、店舗の2階に住む濱野さんのお父さんも、いまではユウナギに欠かせない一員となっています。営業時間中はいつも入口横のテラスからお客様を迎え入れているそうです。

「お客様が来ると駐車の誘導をしてくれたり、文房具店時代からの歴史やカフェになった経緯を詳しく説明してくれています。凪彩が看板娘になると思っていたのですが、おしゃべり好きの父がすっかり一番の人気者です(笑)」

当初は1人でお店を回す予定だった濱野さんですが、気づけば3世代による家族経営のカフェに。お話を伺うなかで何度も「気軽に」「あたたかい場所に」という言葉がありましたが、それはまさに、家庭の中に流れるような時間のことかもしれません。濱野さんたちが醸すあたたかな雰囲気の食卓へ、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

お三方

(2020/07/06掲載)

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会える場所 ユウナギ ごはんと文房具と。
長野市吉田5-26-7
電話 026-243-8665
ホームページ https://yunagi.business.site

営業時間 11:00〜18:00
定休日 火・水曜

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