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ナガラボはながのシティプロモーションの一環です

No.439

増田

幸平さん

Dessert & cafe Dekoオーナーパティシエ

センスや技術が凝縮した、作りたての一皿を味わえるアシェットデセール

文・写真 島田 浩美

「アシェットデセール」という言葉をご存じでしょうか? フランス語で「皿盛りのデザート」のこと。テイクアウトを前提に作られるケーキなどと異なり、アートのように美しい作りたてのデザートをその場で味わえるのが魅力です。
そんな「アシェットデセール」の専門店として2018年にオープンして以来、裏通りの2階という立地ながら、行列ができるほどの人気を集めている「Dessert & cafe Deko(デコ)」。大阪府出身のオーナーシェフ・増田幸平さんは、「自分の店をもちたい」という夢を長野市で実現させました。
 

口コミから広がる人気。裏通りから地域を盛り上げる空間に

長野市新田町の裏通りにあるマンションの階段を続々と上っていく人々。ちょっとわかりづらい立地ながら、たどり着いた2階には広々としたカフェ空間が広がり、開店後すぐに行列ができることも少なくありません。そして、運ばれてくるデザートは、思わず感嘆の声をあげてしまうほどの美しさ。まるで芸術作品のような華やかさで、一皿の上にパティシエの感性が凝縮し、食べるのをためらってしまうほど繊細な世界観が広がります。
 

▲季節のフルーツを使ったタルト。コロンとしたフォルムも特徴的
 
「ゆったりした空間で、ここでしか味わえないデザートを作ることを意識しています。季節にもこだわり、旬の果物を使って、その時その時を楽しんでもらいたいという思いも込めています」
 
そう話すのが、オーナーパティシエの増田幸平さん。昔から料理作りも甘いものも好きだったことから高校卒業後にパティシエの道に進み、出身地の関西をはじめとする全国のホテルやレストランで、コース料理の最後に提供されるアシェットデセールを学びました。そして、兄夫妻が松本市に天ぷら屋を開いたことから、手伝うために同市に移住。そこでパティシエとしての腕も振るいつつ、経営面も学び、長年描いていた自分の店を開く場所を探しました。
 
「長野県には昔から縁がありました。おじ夫婦が住んでいたので、子どもの頃はよく遊びに来ていましたし、兄の奥さんも松本市出身なので、松本に店を開いたんです。長野県内の店舗でパティシエとして働いていたこともあります」
 

▲ホールを担当するパートナーの桃井万里子さんも松本市出身
 
そしてたどり着いた物件が、長野市のマンション2階。かつてはうどん屋だった場所で、その後は5年ほど空いていたそうです。当初は兄の店としておじが見つけたものでしたが、兄が松本に開業したことから増田さんに勧められました。
 
「ずっと自分の店を開いて好きなデザートを自由に作りたいと思っていたので、立地にこだわりはありませんでした。ただ、周囲からは『2階はわかりづらい』『裏通りは人の往来が少ない』と、さんざんな言われよう。それでもマンション1階には美容院が入っていたので、一緒にこの通りを盛り上げていこうと話しました」
 

▲2階に「Deko」が入るマンション1階(エントランス左側)には美容院「ヘアメイクフレア」がある
 
こうして、落ち着いた色合いを心がけたやさしい雰囲気の空間をつくりあげ、2018年7月にオープン。開店後はフォトジェニックなデザートがSNSをはじめとする口コミで広がり、宣伝をせずとも行列ができる人気店となったのです。
 

▲ゆったりとした席の配置は、隣のテーブル席の会話を気にすることなくくつろいでほしいという思いから
 

▲「お菓子の提供を待つ間にも空間を楽しんでもらいたい」と増田さん。ドアをカットしてレゴブロックのように組み合わせたカウンターや木材を組み合わせた柱は増田さんが制作した
 

目と舌で存分に味わえる季節感あふれるデザート

増田さんの作るお菓子の魅力は、その独創性にあります。見たことのないようなビジュアル、素材を生かす洗練されたおいしさ。まずは目で楽しみ、香りを感じ、そして味わいと食感を堪能します。口の中でさまざまな風味が一体となり、まさに“その瞬間を楽しむ”というアセットデセールの魅力を体感することができます。
 
「季節の上質なフルーツを使い、ほかにはない構成を考えています。また、固定のメニューではなく季節ごとに商品を変え、クリスマスやバレンタインなどイベントに沿ったメニューも考えています。それにより、お客様の思い出のひとつになってほしい、少しでも思い出づくりに寄り添いたいという思いもあります」
 
取材時は、クリスマスのデザートを提供。ビッグサイズの「クリスマスパフェ」は、雪を表現した綿菓子をクリスマスカラーに色づけし、想像を超える独特のフォルム。「あわてんぼうのサンタクロース」と「赤鼻のトナカイ」というホワイトチョコレートムースは、繊細な食感のヨーグルトシャーベットを雪に見立てたアシェットデセールです。
 

▲ピスタチオアイスのコクとフランボワーズソルベの酸味、パンナコッタとロゼジュレが口の中で一体となる絶品の「クリスマスパフェ」
 

▲ホワイトチョコムースの中心にアールグレイのブリュレを組み合わせ、トナカイをモチーフにした「赤鼻のトナカイ」。巨大な器も特徴的
 
「これでお客様は喜んでくれるだろうかと考えながら作ることは楽しいですが、自分の味覚を信じるしかない難しさもあります。そのうえで、デザートを提供した時のお客様の反応から、自分がイメージしていたものが伝わっているように感じると、うれしさと安心感がありますね」
 
また、常に進化を求め、以前に作ったデザートも少しずつ分量を調節し、変化させているという増田さん。
 
「秋に提供しているモンブランも、昨年と少し変化させたところ、お客様から『昨年より栗の風味が強くなった』と言われ、覚えていてくれたことや自分の思い通りの変化を感じてもらえたことがうれしかったですね。その進化を楽しみに来てくれる人がいるのもやりがいです」
 

▲クリームやほうじ茶アイスにマロンクリームをたっぷりと絞った「小布施栗のモンブラン」。カシスソースの酸味や大粒の天日塩がアクセントに
 

長野からさらなる進化を求めて

さらに、長野という環境も増田さんの刺激になっているといいます。
 
「長野は何も知らない土地でしたが、いろいろな飲食店に食べにいって出会えるおいしさや気概のあるシェフはすごく刺激になります。作り方を尋ねても隠すことなく快く教えてくれる人ばかりで、食材業者まで紹介してもらえることも。自分の力だけではなく、知り合った皆さんが『Deko』を宣伝してくださっていることも感謝しています」
 
また、さまざまなスイーツの大会に出場し、受賞歴も誇る増田さん。業界内でのつながりも強く、互いに切磋琢磨することで、広い視野で長野からさらなる高みをめざしています。
 
こちらは長野のりんごを使ったタルトタタン。動物をかたどった薄焼きクッキーなど、思わず写真を撮りたくなるデザートばかり
▲こちらは長野のりんごを使ったタルトタタン。動物をかたどった薄焼きクッキーなど、思わず写真を撮りたくなるデザートばかり
 
一方で、長野の食材のおいしさも実感しつつ「もっと地元食材も研究し、より愛されるデザートを追求していきたい」とも話します。
 
「まだまだ長野の食材に触れられていませんし、もっと土地のものを知りたい思いもあります。やりたいこと、表現したいものはたくさんありますが、とにかくもっと魅せるデザートを作りたいですね」
 
例えば、中華料理で揚げたおこげに熱々のあんをかけるパフォーマンス。ジュージューという音や香りも食欲をそそる、あんな仕掛けをすることが理想だそう。
 
「今はまだ難しいですが、いずれ、客席でサーブして提供する瞬間も楽しんでもらうスタイルもやっていけたら。そのためにも、まずはできることを一つひとつ重ねていくだけ。やりたことはきっと一生尽きないですね」
 
現状に満足せず、常に進化を求める増田さん。近い将来、きっとまた見たことのないような斬新なデザートを生み出し、私たちを喜ばせてくれることでしょう。
 

▲裏表のないユニークな人柄も増田さんの魅力
 

(2019/12/18掲載)

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会える場所 Dessert & cafe Deko
長野市新田町1144-4 ラトール新田2F
電話 026-217-2452
ホームページ https://www.instagram.com/dessert_and_cafe_deko/
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