笑って、しゃべって、みんなで楽しむ。シニアのためのパソコン・スマホ教室
倉石竜也さん
シニア・初心者向け パソコン・スマホ教室みっぷす 校長、株式会社HALU 社長
長野駅前校をはじめ、市内と小布施町に計4校ある、超初心者・シニア向けの「たのしいパソコン・スマホ教室みっぷす」。校長であり、運営会社の株式会社HALUの社長も務める倉石竜也さんは、パソコン教室の枠を超えた、シニアの居場所つくりを進めています。
文・写真 松井明子(株式会社ママLife)、写真提供:倉石 竜也さん
倉石さんは、長野駅前で「学生服のクライシ」というお店をやっていた倉石寛三商店の4代目。
「実は僕自身もパソコンが得意ではなかったので、自分でも分かるようなパソコン教室を作ろうと思って、30年前に『超』初心者向けとして始めました」
みっぷすが開校したのは1996年。Windows95が出た翌年で、ブームに乗ってパソコンを購入したものの、使い方が分からず困っている人が少なからずいました。みっぷすは、質問したい時に気兼ねなく質問できるよう、一斉授業ではなく個別指導スタイル。Word、Excel、PowerPoint、タイピングなど、一人ひとりが好きなことを好きなペースで学んでいます。
「当初から超初心者向けでしたが、シニア向けとは謳っていませんでした。しかし、開校から15年ほど経った時、気が付いたら60歳以上の方が8割ほどになっていたので、『シニア向け』とした方が皆さん来やすいのではないかと思い、以来、超初心者向けであり、かつシニア向けの教室としています」
現在、最高齢の生徒は88歳。20年以上通い続け、生活の一部になっている人も。パソコンを始めるきっかけは、地区の役が回ってきて資料を作らないといけないなど、必要に迫られて……という人が多いそうです。
「家族だと、何回も聞くと『まだ分からないの?』と言われたりして聞きづらい。そこで『私たちは同じ事を100回聞かれても笑顔でお答えします!』というキャッチフレーズでやってきました。学習期間が決まっているわけではないので、納得がいくまで通えて、何回聞いてもいいし、何回でも復習し直せます」
教室内には大きなテーブルを備えており、1回50分の講習時間が終わったらテーブルを囲んで必ず休憩時間を取る約束にしています。休憩時間にお茶を飲みながら「膝が痛い」「どこの整骨院に通っているか」と、話したりしているうちに、いつの間にか顔なじみに。
「夜にみんなで懇親会をしたり、お出かけしてランチ会をしたり。何年も前に教室を辞めたけれど、飲み会にだけ来てくれる元生徒さんもいます。『パソコン教室らしくない』パソコン教室です。パソコンを教えるのは各教室のインストラクターが行いますが、僕は教えるよりも、皆さんを明るく盛り上げる方が得意です」
パソコン教室に通い始めたばかりの生徒さんたちの中には全くしゃべらない人もいますが、倉石さんが声を掛けて笑わせたりしているうちに徐々に変わっていくそうです。
「『来たばかりの時は全然しゃべらなかったよね』と聞いてみると、一人暮らしで家にいて、人と話さずに過ごしていると、いざ喋ろうとしたときに言葉が出なくなるみたいです。だから、みっぷすをそういう人たちの集まる場所にしたいのです」
10年ほど前からはスマホ教室もスタート。スマホは倉石さんが教えています。
「スマホは、パソコンほど習う必要に迫られることはありませんよね。できなくても自分にとって不便なだけで、あまり迷惑をかけることがありません。でも、スマホの方が大勢の方が持っているので、実は困っている人も多いのです。だけど、ショップに行って質問しても冷たい目で見られる気がする。それでみっぷすにたどり着く方も多いです」
電話のかけ方、切り方、正しい電源の落とし方など、本人が困っていることを初歩から教えています。迷惑アプリをアンインストールするのを手伝ったり、テザリングのやり方を教えたり、時には通販業者に成りすました詐欺メールを受け取った人から相談を受けることも。
PayPayを使いたいという人がいれば、インストールからコンビニでのチャージ、QRコード決済のやり方まで、一緒にコンビニに行って付きっきりで教えます。
「『使い方を忘れたらまた来てね』というと安心してくれます。使わなければ僕だって忘れますから。何回でも聞いてほしいですね」
スマホ相談を入り口に、よろず相談を受けることが多く、倉石さんは「教わるほどではないけれど、ちょっと相談したい」というニーズに応えようと、長野駅前校で新たに「みっぷすスマホサロン」を始めました。
同サロンは、水・木曜日の13時30分~16時、1時間1100円で何でも気軽に相談できるシニアのための居場所。コーヒー飲み放題で、出入り自由、1回15分ほどのスマホ相談ができます。相談事がなくても、倉石さんと話したり、話をせずに本を読んで過ごしてもよい、自由な場です。
「僕はこういう活動をもっとしていきたい。パソコンやスマホのことを学びたくて来る人半分、ただおしゃべりをしに来る人半分。一人暮らしでずっと喋ってない……みたいな人が行ける場所をつくりたいのです。スマホはあくまでもきっかけで、話をしてみんなで笑って。そんな風に笑いがある場にしていきたいですね」
(2026/06/30掲載)
本宮 雅章さん
株式会社リクシル/Asuemiパーソナルトレーナー次の記事がありません。