FEEL NAGANO, BE NATURAL
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ながのを彩る人たち

篠ノ井信里生活1年7か月目 2025年7月31日

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こんにちは! 篠ノ井信里地区の那須野です。 毎日が暑すぎますね・・。 今年は雨もほとんど降らず、ぶどうには今のところ良さそうですが、 家庭の野菜たちが水不足です。【そして、自分の記事をスマホでチェックするたびに思うのですが、↑↑この部分、緑背景に黒文字のとこ見にくいですよね。長野市Web担当さん(?)どう思いますか?】

ぶどう畑でのこと

🍃誘引摘心作業✂️

7月の主な作業は、誘引と摘心です。

先月も誘引に関しては少しだけお話ししましたが、

7月に入り、新梢もワイヤーの一番上まで伸びて超えてきました。

 

これをワイヤーにとめて、まっすぐに上まで延ばさせてやるのが『誘引』

そして、上まで伸びて垂れ下がった枝の先を切ってやるのが『摘心』です。

 

ぶどうづくりでは、この2つの作業がとても重要です。これらは、光・風・栄養のバランスを整えるための“枝のコントロール”です。

 

まずは作業前と作業後の様子を写真で見てください。

BEFORE
AFTER

こんなかんじで、見た目にも整然と整います。

ここで、それぞれの作業の目的を詳しく説明したいと思います。

 

🍃 誘引(枝をワイヤーに留めて整える作業)

ぶどうの枝(新梢)はそのままにしておくと、上や横にバラバラに伸びてしまいます。
これをきちんと横に広げて留めることで

 

🍃 葉が均一に光を受けて、光合成が効率よく行われる

🍃 風通しが良くなり、カビや病気のリスクが減る

🍃 作業性も上がり、収穫や手入れがしやすくなる

 

見た目もスッキリ整い、健康でバランスの良い樹に育ちます。

 

✂️摘心(ツルの先を切って成長を止める作業)

ぶどうは非常に成長力の強い植物です。ツルの先を放っておくとどんどん伸びて、実よりも枝や葉に栄養が取られてしまいます。

そこで、先端を切ってあえて成長を止めることで

 

✂️果実に栄養を集中させられる

✂️過度な樹勢を抑えて、香りや酸のバランスが良い果実になる

✂️房の周りに日光が届きやすくなり、色づきや糖度アップにも効果的

 

🍷 結果として…

誘引と摘心をしっかり行うことで、ぶどうは「光合成・通気・栄養分配」という3つの面から理想的な状態に近づきます。

これはワインの香り・色・味わいすべてに影響するため、重要な作業となります。

 

 

🍇ヴェレゾン前の話

7月25日、色づき始めたピノノワールを発見しました。

そこから数日で、だいたい全体の5%くらいのぶどうがチラホラと色づき始めています。

 

ヴェレゾンというのは、ぶどう栽培の用語で『ぶどうの粒が色づくこと』を言います。

ヴェレゾン開始の定義が、だいたい全体の1割くらいが色づいてからなので、7月30日現在はまだヴェレゾンの前段階となります。

ピノノワールが数粒色づいています。

🍃『徐葉』『摘房』『収量調整』🍃

 

先ほど、誘引摘心は大切な作業で、なんて書いていましたが、

このヴェレゾン直前の『徐葉』『摘房』『収量調整』は、🍷品質に直結する大切な作業です。

 

なんて、普通に考えたら大切じゃない作業なんてないのですが。。

 

言い訳をすると、誘引摘心は基本作業でだいたいみんな同じやり方でやっていますが、

徐葉、摘房、収量調整に関しては、圃場管理者のイメージや感覚で、やるタイミングや量は人それぞれです。

 

有旅ワイナリーも、信更、七二会、有旅と3つの圃場がありますが、

その3圃場でも違います。

 

ありがたいことに、有旅の圃場はある程度自分の考えでやらせていただいているので、

自分が調べた限りでは、ヴェレゾン前の今が『徐葉』『摘房』『収量調整』のベストタイミングだと考え、現在作業をしています。

 

とくにピノ・ノワールやシャルドネのような繊細で酸が命の品種では、この時期の管理がワインの品質を大きく左右すると考えます。

現在行っている除葉・摘房・収量調整について、ヴェレゾンの前後でのメリットと注意点をまとめました。

 

🔸除葉

・ヴェレゾン前:光合成効率UP、病害予防、日焼けリスクあり、着色促進

・ヴェレゾン後:日焼けリスク低、凝縮効果は小さく、裂果の注意必要

🔸摘房

・ヴェレゾン前:凝縮感向上、ただし樹勢強すぎに注意

・ヴェレゾン後:粒の様子を見て判断できるが、効果は限定的

🔸収量調整

・ヴェレゾン前:アロマ・色づきに効果、ただし粒が大きくなりすぎる可能性

・ヴェレゾン後:最終判断には適しているが、品質への影響はやや薄め

 

こうした理由から、有旅圃場ではメリットを優先し、ヴェレゾン前の管理に力を入れてペースを上げているところです。

作業ひとつひとつが味わいに直結する時期。暑さに負けず、丁寧に仕上げていきます🍇

摘房は、基本は三番目の房を落とし、1房または2房にします

家の畑でのこと

ミニトマトとF1種と、自然農法?の話

今年のミニトマトは豊作です。いまだに収穫ピークが続いています。

数も多く、味も良くて、ご近所さんにも大好評。

やっぱりF1種ってすごいな、と素直に思います。

3日に1度大きなボウル1杯採れてます

ところで、今年はもう一つ、その品種とは別のF1種のミニトマト(あまぷる)から昨年自家採種しておいた種をまいて苗を育ててみました。

結果は……正直、あまり芳しくありません。

見た目こそそれなりに“去年のミニトマトっぽい”のですが、肥料もやっていないのに樹勢ばかり強く、いまだに収穫ゼロ。

害虫にも弱く、実はできた先から虫に食われてて。やはりF1の「一代限りの優良性」は本当のようです。

色づくたびに落ちてるあまぷる。ようやく収穫できそうか?

そういえば以前、このブログで「ぶどうは種から育てても同じものにならないから、挿し木でクローン増殖する(ピノノワールの種を植えても同じピノノワールにはならない)」という話を書いたことがあります。

今回のミニトマトの件、これとよく似ているように感じます。

 

もちろん、ぶどうは他家受粉性、トマトは自家受粉性と、遺伝的な仕組みは全く違います。

でも「種から育てても親と同じものにならない」という点では、確かに“似ている現象”が起きているわけです。

 

そもそもF1種とは?

F1(First Filial Generation)種とは、異なる2つの固定種(親)を交配してつくる、一代限りの雑種のこと。

雑種強勢(ヘテローシス)によって、収量、病害虫への抵抗性、見た目のそろいなどが大きく向上します。

現在、市販されている多くの野菜(トマト、ナス、キャベツ、ダイコンなど)がF1種です。

 

「F1は危険」という主張とその誤解

SNSなどを見ていると、特に“自然派”界隈でF1種に対する否定的な言説をたまに目にします。

曰く、

「F1は遺伝子組換えである」

「F1は農薬や化学肥料がないと育たない」

「F1は自家採種できないから不自然」

……冷静に見れば、どれも根拠の薄い、あるいは誤解に基づいた話です。

 

🧬「F1は遺伝子組換え」は誤解

F1種はあくまで交配であり、遺伝子組換え(GMO)ではありません。

これは何千年も前から行われてきた農業技術の延長です。

現代のF1は、そこに科学的な知見と選抜の効率化が加わっただけです。

 

🌾「F1は農薬依存」どころか、むしろ逆

F1種の多くは病気に強い性質を持つように育種されており、農薬を減らす目的で開発されています。

逆に自然のまま”に見える固定種も、実は農薬の支えがあってこそ育っているものも少なくありません。

 

🌱「F1は自家採種できない」は事実。でもそれが問題か?

確かに、今回のあまぷるのように、F1種から採ったタネ(F2世代)は遺伝的にバラつきが出て、親のような性質は出にくくなります。

でもこれは不自然どころか、むしろ自然そのもの

なぜならこれは、メンデルの法則(中学校で習いましたがおぼえていますか?)──遺伝子が分離して多様な形質が現れる──の通りの現象だからです。

ここで少し分かりやすい?たとえを。

たとえば、雑種の犬同士を交配したとき、毛色も性格もバラバラな子犬が生まれますよね?
あれと同じです。

つまり、F1とは「優秀な(というか望んだ形の)雑種を毎回“最初から”つくる」ことで、人の手で“自然”のしくみを丁寧に再現しているとも言えるのです。

だからこそ、毎年新品のタネを買えば、安定して高品質な作物が育つという安心もあるわけです

 

そもそも「自然」ってなに?

よく「F1は自然じゃない」なんて言説を見かけますが、そもそも農業という営み自体が「自然に人が手を加えること」そのものです。

野菜は野に咲く草ではない。

人が「育てやすく」「食べやすく」「そろいやすく」改良してきた結果が、今、私たちの台所に並ぶ野菜たちです。

これも前に話したかもしれませんが、”人が手を加えないこと”が「自然」なわけではないんですよね。

 

有機も無農薬も否定はしませんが…

我が家も農薬を使わなかったり、無肥料でやることも多々あります。

種を取って育ててもいます。

ただ、それは農薬や肥料の役割を理解した上で、どう活かすかを考えたうえでの話。

 

またまた話はそれますが、歌舞伎役者?かどなたかの言葉で、

「型があるから型破りが出来る、型が無ければ単なる形無し」

という言葉があります。

慣行農法を知らずに【無農薬だけが正義】みたいな考えを吹聴するのは「ただの形無し」です。

※家庭菜園などで自分だけで無肥料無農薬でやってる方の否定ではありません

 

これはワインも一緒で、クラシックなワインの作りを知らずに、ナチュラルワインを作るのはただの無謀と思っています。

だってアクシデントがあった時に基本を知らなければ対処できないのですから。

 

「自然派」という言葉は耳に心地よいものですが、それだけで判断すると、時に“科学的に安全”なものを不安視し、本当に危ないものを見落とすこともあるのではないでしょうか。

 

しっかりと学ぶから応用がある、『守破離』の精神は大切にしたいものです。

無農薬のトマトはタバコガ類にも食われていますが、わかってやっているから全滅は免れ、質の良いトマトが収穫できています

「自分の命は自分で守る だから無肥料無農薬」──どこかのSNSで見た言葉です。

でも命を科学の技術で“どう活かすか”を考えることも、同じくらい尊いのではないでしょうか。

 

農業は自然との対話です。

そしてその対話には、科学という言語も使っていいのだと、私は思います。

農薬と化学肥料ができたから人口が爆発的に増えたのは歴史的に明らかなのですから。

 

参考URL:https://ourworldindata.org/fertilizers?utm_source=chatgpt.com

(ハーバー・ボッシュ法で生産される合成窒素肥料に依存している世界人口の推定値などが見れます)

 

ただ、「できる限り自然に」という考えももちろん正しいので、農薬や肥料を使用しすぎないことは前提として、自然派も慣行農法派もいがみ合わずに共生していけたらいいですね。

 

 

じゃがいもの話

なんだか、無駄に長く熱く語ってしまったので、今度は程度の低い話を。

 

昨年のじゃがいもは、テントウムシダマシ(ニジュウヤホシテントウ)に葉っぱがことごとく食べられて、

上手く光合成ができずに小さいサイズのじゃがいもしかできなかったのですが、

今年は最初にしっかり極小の幼虫の段階で防除ができたおかげで、大きなじゃがいもがしっかりと取れました🥔

これで半分の収量 2人では食べきれないかも・・

その中で、今年はポテトチップスに使用しているジャガイモ🥔というものを植えてみたのですが・・

 

今回植えた、キタアカリ、グランドペチカ、ポテトチップスの芋(品種名忘れた・・)と、勝手に変なところから生えてきた野生の男爵と思われし芋、の4種類

 

をポテチにして食べ比べてみました。

上がグランドペチカ、左がポテチの芋、右がキタアカリ

結果、ポテチの芋で作ったポテチは、ビジュアルも味もめっちゃポテチで、

パリパリ感がダントツで、

 

「ポテチの芋すげー!!!!」

 

ってなりました。

 

ちなみに野生の男爵はすぐに焦げてポテチにはなりませんでした。

 

程度の低い話は以上です。

いただきもの

そして今月もご近所さんから色々と頂きました。

 

「初めて作った品種で甘かったから持ってきたよ~」って、

とうもろこしを頂きました!

本当に甘くて、なんて品種か今度お会いした時に聞きたいと思っています。

こちらはおやきを焼いたからと、できたてアツアツをいただきました。

茄子のおやきは、皮がもっちもちで、具はとろっとろで、とても美味しかったです!

ほんとうに、いつもありがとうございます!

会える場所

有旅ワイナリー/UTABI Winery

長野県長野市篠ノ井有旅字峠1189-1

電話:026-299-4120

メール:info@utabi-winery.co.jp

ホームページ:https://www.utabi-winery.co.jp/

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