リアルボイス
I Love NAGANO people
#24

薫蔵 COFFEE KAGURA店主塚田和大さん

東京都出身
薫蔵 COFFEE KAGURA店主 塚田和大さん
長野でよかった! Tsukada's Voice

仕事も住まいも長野市街地なので、車がなくても意外と日常生活はこと足ります。最近、使い始めたのがカーシェアリング。休日にちょっと足を伸ばせば山の中の素敵なカフェやレストランへ出かけられるのが楽しいです。

Profile

1979年東京都生まれ。大学卒業後、都内で飲食業に従事。大手カフェチェーンやカフェレストランに勤務しながらコーヒーの技術と知識を深める。「コーヒーマイスター」資格所有。2018年に長野市に移住し、「薫蔵 COFFEE KAGURA」オープン。

移住までの道のり

1979東京都生まれ
2003都内のカフェチェーン勤務
2009都内の飲食企業に転職、カフェレストランでコーヒーの技術を磨く
2018長野市に移住し「薫蔵 COFFEE KAGURA」オープン

物件との出会いで移住を決意

2018年秋、善光寺表参道にオープンした「薫蔵 COFFEE KAGURA」。築100年超の小さな蔵を改装した店内には善光寺参りに訪れた人はもちろん、近所で働く人が立ち寄ったり、月曜夜限定のバー「夜薫蔵 」でちょっと一杯を楽しんだり。にぎわう門前界隈でも、静かで落ち着ける空間です。

「店だけでなく自宅でもコーヒーを楽しんでほしいから、いろいろな豆や淹れ方を組み合わせて好きなスタイルを見つけてもらえるようにしています」

そう話す店主の塚田和大さんは、東京生まれ東京育ち。都内のカフェやレストランで長く接客業に携わってきました。仕事をきっかけに10年ほど前に魅せられたのが、ハンドドリップコーヒーの世界。コーヒーマイスターの資格を取得するなど経験と知識を重ね、「いつか自分のカフェを開きたい」と考えるように。そんな塚田さんが開業の地に選んだのは、初めて暮らす長野の地。決断の背中を押したのは、この蔵との出会いでした。

塚田和大

以前は2階がギャラリー、1階が工房として使われていた建物。1階で飲食店を始める人を探していたオーナーで建築家の縣(あがた)孝二さんが声をかけたのが、偶然にも数年前に長野市へ移住していた塚田さんの母・めぐみさんでした。明るい性格を見込まれてのことでしたが、飲食業は未経験だっためぐみさんは息子の塚田さんに相談。立ち上げを手伝うため下見に訪れた塚田さんは、思いのほかこの場所に強く引き寄せられたといいます。

「当時は門前がどんな場所かあまり知らなかったのですが、行ってみると参道の雰囲気も蔵の感じもとてもいい。母の店として手伝うはずが、僕の方が気に入ってしまったんです。ここなら、自分がイメージする空間を作れそうだと思いました」

塚田和大

門前の雰囲気に惹かれて

その頃ちょうど勤務先から「新しい店舗の店長にならないか」と打診を受けていたものの、「管理職より店頭でお客様に接していたい」と悩んでいた塚田さん。そんなタイミングで訪れた出会いに、「このチャンスを逃してはいけない気がして」退職と独立を決断。めぐみさんや縣さんの協力を得ながら、仕事と並行して開業準備をスタートさせました。

けれど初めて暮らす土地で、初めての開業。不安はなかったのでしょうか。

「母が土地勘があったので、ある程度集客を見込める立地であることは分かっていました。とはいえ人が多ければいいというわけではなく、門前独特の雰囲気に惹かれたことが大きかったですね。ここが長野駅前のようなにぎやかな場所だったら、始めていなかったと思う。東京でも独立するなら国立や阿佐ヶ谷のような落ち着いた街を考えていたので、違和感はありませんでした」

業務用キッチン新設など大規模な改装が必要でしたが、2階はギャラリー営業、1階も夜は店主日替わりのバー営業と多くのシェア仲間がいたため、一人あたりの家賃負担が少ないことが独立の後押しになりました。縣さんのアドバイスで申請した「長野市移住者起業支援金」も改装費の助けに。移住前に縣さんや日替わりバーの店主たちとつながることで、この街で暮らすイメージも描きやすかったと話します。

塚田和大

「長野ときどき東京」がちょうどいい

都内では、青山という超都心に暮らしていた塚田さん。移住後しばらくは「変化し続ける飲食店のトレンドや新しい情報に触れていたい」と、東京の家と行き来する二拠点生活を送っていました。

その一方、暮らすうちにどんどん長野が好きになっていったそう。街と自然のバランスがちょうどいいこと、山を眺めていると心が落ち着くこと、長野の水で淹れるコーヒーは理想の味に近いこと。そして長野で出会った奥様との結婚が転機となり、ほどなく長野市へと完全移住。今では時おり夫妻で東京へ出かけて好きなお店や新しいスポットを巡り、インスピレーションを得ています。

「東京では毎日夜中まで働いて消費して、慌ただしいサイクルでした。今は夕方に仕事を終えて帰り、ゆっくり料理をしたり食事を楽しんだり。なんだか健康になりましたね」

無理せず、自分らしいペースで日常を楽しむ。そんな塚田さんだからこそ、初めて訪れても落ち着けるこの場所の空気を紡ぎ出しているのでしょう。

塚田和大


Copyright © 2016 Nagano City All rights reserved.