長野市復興だより

「地域の方々に“安心”を届けたい」

ヤマト運輸㈱長野主管支店 安全推進課 山田 義実 課長・宮本 邦正さん

ヤマト運輸㈱長野主管支店は、北信・東信地区の荷物を集積・仕分けしている物流拠点です。昨年の台風による千曲川の堤防決壊で、安全推進課の山田義実課長(当時 長沼支店 支店長)と、宮本邦正さん(当時 安全推進課長)に当時を振り返っていただきながら、災害への対策についてお話を伺いました。

 

地域の避難所として

昨年10月12日は、台風が近づいていたため本社からの指示で、16時には全ての業務を停止し、主に風対策など社内の保全を行ったうえで、一部の管理職を除き全社員が帰宅しました。当時は、まさかここまで浸水するとは、誰も予想していませんでした。

2014年にヤマト運輸㈱は穂保地区と災害協定を結び、災害時に地区住民の避難場所として施設を提供しています。風雨が強くなってきた12日の夕方頃、地域住民30名ほどが自家用車で避難されて来ました。その後、川の水位が上がってきたので、地域住民の皆さんの車を地上より1.5mほど高い倉庫の中へ移動しました。深夜に、千曲川の堤防が決壊し地上駐車場は泥水にのまれてしまいましたが、倉庫へ移動した車は一台も水没せず、住民の方から感謝の声を多数いただきました。また、長沼地区で毎年行われる防災訓練には地域住民の方同様、社員も積極的に参加していたため、日頃から防災意識を持っていたことも、被害を最小限に抑えられた要因かもしれません。

2014年から穂保地区と災害協定を結んでいるヤマト運輸㈱長野主管支店。4階の大会議室を避難所として提供

 

営業再開まで

台風により地下倉庫やトラックなどが浸水被害にあいましたが、支店の場所が千曲川の決壊現場よりもやや下流にあったため、泥が比較的少なかったことが不幸中の幸いでした。荷物は全て車輪のついたコンテナに入れていたので浸水被害はなく、車高が高い大型トラックも無事でした。
とはいえ、停電により全ての電気設備が使えなくなってしまったので、借りてきた大型の発電機を用いて、ポンプで排水する作業に追われました。10月15日にはパート社員を含めほぼ全ての社員が出社し、ゴミや泥の撤去などを行いました。ボランティアとして地域で活動する社員も大勢いました。

地下倉庫や軽トラックなどが水没した10月13日の長野主管支店

 

宅急便はライフライン

私たちは、宅急便はライフラインのひとつだと思っています。お客様に荷物を届けることは、電気やガスが通るのと同様に重要であると考えているので、1日も早く荷物を届けたい一心でした。中部電力様にも尽力していただいた結果、支店に電気が戻り、10月16日から徐々に業務を再開することができました。
営業再開後、地域の方々に荷物をお届けする際に、本社や他所から寄せられた水やアルコール消毒液などの支援物資の一部も一緒に配って回りました。ドライバー自身も大変な思いをしながらの配達でしたが、“地域の方々に安心を届けたい”という想いを全社員が共通して持っていたので、とてもやりがいを感じました。
全国的に多くの自然災害が起こる昨今、弊社では以前から危機管理のマニュアルを作成しておりましたが、今回の台風被害を受け、災害対応のタイムスケジュールと行動マニュアルをより一層細かく見直し、管理者だけでなく全社員に周知するよう徹底しました。この記憶を忘れずに継承し、より一層しっかりとした危機管理体制を築いていきたいと思います。

 

 

ヤマト運輸株式会社 長野主管支店

住所 長野市大字穂保中ノ配317-1
TEL 0263-54-6743