BRAND X Collaboration
BRAND X Collaboration
長野市「都市ブランドデザイン」のピンバッジを製作
有限会社BIG WAVE
ピンバッジで長野への愛と誇りを胸に!
長野市稲里町でピンバッジ製作を専門に手がける有限会社BIG WAVE。社長の小林忍さんは以前このナガラボにも「ながののプロフェッショナル」としてご登場いただいたことがありますが、今回は「都市ブランドデザイン」の商品を世に出されたとのことで、再びお邪魔しました。
文・写真 吉田 淳子(株式会社ビー・クス)
同社は「都市ブランドデザイン」の民間コラボ商品第1号としてピンバッジを製作されていますが、その経緯を小林社長に尋ねると、実は意外なものでした。
「毎月各家庭に配布される『広報ながの』で、都市ブランドデザイン決定のお知らせを見たんです。申請すれば誰でも使用できるとのことだったので、すぐに『これはピンバッジに!』と思い立ちました。」
さっそく長野市役所に行き、市の担当者と意見をすり合わせながら製作を開始。同社デザイン担当の戸谷浩二さんは振り返ります。
「どうすればみなさんに身に着けてもらえるか、曲線を描く5つの色はすべてに意味があるので、どこを切り取るのがベストか、デザインのバランスを見ながら悩みました」
ピンバッジの製法も、数ある中から高級感が出せる工法をチョイス。5色のビジュアル(背景)にメッセージ(タグライン)を乗せて、四角型と丸形の2種類をリリースしました。
「ポイントは、黄土色の部分を“金”色で表現したところですね」と戸谷さん。5つのカラーがそれぞれ主張しすぎない、素敵なデザインのピンバッジができ上がりました。
「長野市に『誇り』が持てる仕上がりになったと思います。市の職員の方だけでなく、市民の方にもぜひ着けていただきたいです」小林社長も満足そう。
当初は市役所1階にあるコンビニエンスストアで販売していましたが、現在はエムウェーブ1階にある売店や若里市民文化ホールの窓口、同社のウェブサイトで購入可能です。
同社は毎年デザインを新しくして「限定販売」にしたいと意気込んでおり、ただいま次年度のデザインを企画中です。
2003年創業の (有)BIG WAVEは、1998年に長野市で開催された冬季五輪の際、長野の街中がピンバッジで湧いたことに衝撃を受けた小林社長が、ピンバッジの可能性を感じて起業したことに始まります。企業の社章や団体章、イベントの記念バッジといった大型の受注生産が主ですが、小ロットの企画商品も多数手がけています。
「ピンバッジの文化は、五輪を起点にして日本に根付いたと思います。実は登山者にもバッジは人気なんです。気軽に収集を楽しめるピンバッジを、もっと多くの方に楽しんでいただければと思っています」
道の駅などで売られているピンバッジは、ほとんどが同社製作のもの。自社販売する長野県のPRキャラクター「アルクマ」のピンバッジは50種類を超えます。寄付を目的に作られた金沢のキャラクター「ひゃくまんさん」とアルクマのピンバッジは、売り上げの一部である10万円を「令和6年能登半島地震災害義援金」として石川県に寄付されたそうです。
同社はこのごろ、「休眠特許」を活用したオリジナルブランドの商品を開発しました。「香るピンバッジ」“pinaroma(ピナロマ)”です。美しくデザインされた大きめのピンバッジの表面をスライドすると現れるフィルターに、アロマオイルを数滴垂らし、戻して装着。胸元に着けると、良い香りがふんわり鼻に届きます。
ピンバッジが香るという着想もユニークですが、2つの「開放特許」を採用しているというところがポイントです。
構造は、富士通(株)が保有する特許「芳香発散技術」(小物やアクセサリーなどに香りをつける技術)を利用。香りは、トヨタ自動車(株)が保有する特許「眠気対策技術」(針葉樹などに含まれる眠気抑制効果の期待できる成分「α-ピネン」)を利用し、アロマテラピーの専門家と調香したアロマオイルです。通常はリラックスを目的に使われることの多いアロマですが、眠気を抑制する成分はビジネスシーンにぴったり。ブローチのように華やかに胸元を飾るピンバッジとの相性は抜群です。
新製品開発にあたり挑戦したクラウドファンディングでは早々に目標額を達成したそうで、同社の新たな柱としての成長が期待されています。
「休眠特許も、アロマオイルも、都市ブランドデザインも、すべてが出会いなんです。出会いの中でみんなに背中を押してもらって、ここまで来られました」
常にアンテナを高く伸ばしているからこそ、訪れる数々の出会い。「BIG WAVE」はこれからも風を読んで瞬間を捉え、ピンバッジを通して「次の波」に乗っていくことでしょう。