大切な人と楽しい「デート」を!
2人の「夢」実現にまい進しながら、長野の魅力を若者へ発信!
佐藤陸也さん
奥村あゆみさん
インスタグラマー
「僕たちは、毎週デートする長野のカップル!」とテンポの良い掛け声からはじまる動画投稿が人気のInstagramアカウント「りく|長野デートプラン(@nagano_date)」。 運営するのは、長野市在住の佐藤陸也(りくや)さんと奥村あゆみさんのカップルです。 2人の夢は、「自分たちのカフェを開くこと」。そのための研究として、毎週県内のカフェを巡りはじめたのがアカウント発足のきっかけになったそうですが、2人の出会いや活動にかける想い、現在の取り組みや今後について、お話を聞きました。
文・写真 原 有彩(株式会社ビー・クス)
撮影・編集・発信を担当する佐藤さんは埼玉県出身。
もともとカフェ巡りや旅行が趣味で、大学時代は全国各地を1人旅で巡ったそうです。
卒業後、首都圏の企業に就職するも、コロナが直撃。仕事もリモートワークになり、家から出ない日々の中で、これからの自身の生き方を考えるようになった佐藤さん。
「人混みから離れて、もっとのびのび暮らしたいな」
移住先として、真っ先に思い浮かんだのが「長野県」でした。旅先のゲストハウスなどで、とてもあたたかく迎え入れられた経験が強く印象に残っていたようです。
「他にもいろいろな県を周りましたが、よそ者にこんなに親切な地域はないなと」
こうして単身で長野移住を決意した佐藤さん。長野市で一人暮らしをはじめ、建設系の会社に勤務。仕事帰りに寄った某喫茶店チェーンで出会ったのが、店員として働く奥村さんでした。「完全に僕のひとめぼれでした」とはにかむ佐藤さん。そこから足繫くお店に通い、「カフェ好き」という共通点の話題を通して徐々に距離を縮め、見事交際にこぎつけたのでした。
そんな二人の共通の夢が「いつか自分たちのカフェをひらくこと」。奥村さんが某喫茶店チェーンで働いていた理由も、カフェ開業のために接客や珈琲の焙煎技術を学ぶためでした。
二人はお店づくりのヒントを得ようと、週末の度に県内各地のカフェを巡りました。その中で、せっかくなら行った場所を記録に残し、自分たちのようなカップルがデートで楽しめるような場所を発信しようとはじめたのが、アカウント誕生のきっかけでした。
「長野にいると、みんな口を揃えて『長野なんて何もないよ~』って言うんですよね。
でも、県外から来た僕にしてみれば、魅力的な場所だらけなんですよ。『こんなにいい場所がたくさんあるじゃん』ということを、どうにか伝えられないかなと思ったんです」
最初は、バズることを全く想定していなったというお二人。
SNSの情報や口コミを頼りに、自分たちが気になったお店を訪れ、コンスタントに発信を続けているうち、ある投稿がきっかけで人気に火がつきます。
それは昨年2023年11月に投稿した、長野市高田にある「チーズ洋菓子店」の紹介でした。
うっかりすると通りすぎてしまいそうな小さなお店ですが、全国から高級素材を厳選して取り寄せ、とことんこだわり抜いた絶品チーズケーキが大人気!県内だけなく、県外からも「チーズケーキ好き」が訪れるそう。国道19号線沿いにあるので、車で通過する際に行列になっている様子を目撃した長野市民の方も多いはず!
「たまたま、僕らのアカウントがどこよりも早く取り上げたんじゃないかな」
タイトルにもある通り、50万人以上に閲覧され話題になりました。
実は前職で結婚式場のカメラマンをしていたとこともある佐藤さん。
撮影の構図や動画の構成にはこだわりがあり、
例えば
・アツアツのハンバーグにとろ~りとチーズがかかる瞬間
・シュークリームを割ると、中からた~っぷりのクリームがあらわれる瞬間
など目の前の食べ物をいかに美味しく撮るか、業界用語でいう「シズル感」をいかに映像にするかをとことん追求しているそうです。
その一方で、「バズる」投稿でありがちな、過度なフィルター機能を使ったり特殊な撮影機材を使うことはしないそう。ありのままの被写体を、必要以上に「盛らず」に、スマホ1つでいかに魅力的に伝えられるかを大切にしています。
見たら思わず、食べたくなる、行きたくなる投稿が人気を集め、投稿をはじめてからたったの1年でフォロワー4.1万人(※2024年10月現在)の人気アカウントになりました。
ほぼ毎週末、県内のお出かけスポットをまわっているというお二人。ネタが尽きないか心配ですが、まだまだ長野には魅力的ある施設や観光スポット、イベントで溢れているそう。
それなのに、周囲から「何もない」と言われてしまう理由として
「要因の一つは、新聞やテレビなど既存メディアが届く層が高齢化していて、若い人には情報が届いていないと思うんです。そこで、僕らがInstagramを介して若者へリーチするお手伝いができればいいなと思います」と佐藤さん。
まさに若年層の呼び込みをテーマに、今年新たな企画として行われたのが、「ながの東急百貨店」で開催されたイベント『#This is Sweets』です。東急百貨店の若手バイヤーと長野県で活動するインスタグラマーたちがタッグを組んだ初のスイーツイベントで、9月20日~25日の6日間にわたり開催。長野県内5店を含め、全国各地でバズッている有名店や行列必須の人気店など20ブランドが一堂に集結しました。
佐藤さん奥村さんカップルもインスタグラマーの一員として企画段階から参加。イベントは、シルバーウィークでの開催だったこともあり、連日大盛況!各ブースに行列ができ、催事場は身動きが取りづらいほどの混雑ぶりでした。
イベント当日、佐藤さんと奥村さんは会場の様子を実況しつつ、車で来場する人が困らないよう、近隣駐車場の混雑状況をこまめに発信し、イベントをサポートしました。会場には佐藤さんと奥村さんに会いに来たというフォロワーさんもたくさんいたそうです。
今回のイベントに限らず、Instagramというメディアの可能性に注目する県内企業が増えてきており、@nagano_dateのアカウントにはPRの依頼やコラボ企画の相談が多く寄せれているそうです。
「例えば地域の農産物直売所も、地元の人からしてみれば「映えない」のかもしれませんが、こんなに新鮮で、おいしい果物が手に入るなんて、僕にとっては本当に衝撃的なんです!これからも、よそ者・若者の目線で、どんどん発信していきたいですね」
と佐藤さんは意気込みます。
一方で、二人の最終目的である「カフェ開業」の計画も着実に進んでいます。せっかく長野で開業するので、地元産の新鮮でおいしいフルーツがふんだんに味わえるお店にしたい、というのが2人の構想。週末のカフェ巡りのかたわら、土地探しも進めています。
ちなみにカフェを開業してもInstagramでの活動は続けるそう。
「最初は県内向けに発信していましたが、僕たちの投稿を見て県外から来てくれる方も多いです。外からのお客さんが増えて、地域全体が活性化していけば、回り回って自分たちにもプラスになると思うので発信は続けていきたいですね」。
@nagano_dateが発信する「デート」の定義は、単に男女のカップルが遊びにいくことではありません。家族や友人、ペットなど、大切な人と一緒にお出かけすることを総称して「デート」と呼んでるそうです。
長野の魅力に多くの人に触れてほしい、大切な人と楽しい思い出をたくさん残してほしい。
そんな思いで、佐藤さんと奥村さんは今日も県内各地を巡り、”とっておき”の場所を発信し続けています。
(2025/01/21掲載)
信州 川中島で桃農家になる
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