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ナガラボはながのシティプロモーションの一環です

No.084

宮﨑

由紀美さん

NPO法人信州・川中島平ファクトリー専務理事

地域ブランドと農業を守るため
産地の旬の味を全国へ届ける挑戦

文・写真 Takashi Anzai

「究極のお土産」品評会でも高い評価

昨年、観光庁の主催で行われた「究極のお土産」品評会。そこで高い評価を得た長野市産の商品があります。一次審査を通った全商品をまとめた書籍でも見開きで大きく紹介されました。NPO法人信州・川中島平ファクトリーで製造している、果物のジュレです。この書籍では、川中島白桃をはじめ6種類のジュレが大きく取り上げられています。

「長野の人って桃を硬いまま食べますよね。この様な食べ方が長野の果物の良さだと思っているので、全国いずれは世界の方にも味わって頂きたいのです」

こう話すのは同法人の専務理事、宮﨑由紀美さんです。

「私たちの商品は基本的に添加物や砂糖をほとんど使っていません。旬の状態をそのまま召し上がっていただけるというのが商品コンセプト。『冷やして、皮を剥いて、食べる』というシンプルな食べ方に限りなく近い状態で召し上がっていただけるのが最大の特徴ですね」

実際に試食させてもらいましたが、食感は完熟のものに近く、味も採れたての果実ならではのフレッシュな甘さが感じられました。

原材料の果実には品質に高いハードルが設けられ、糖度が低い果実は原料として使用するのを断っているそうです。ただし、色などの見た目や大きさに関しては厳しい決まりはなく、あくまで中身にだけこだわっているため、農家としては安定した収入源となっています。

信州・川中島平ファクトリーの設立は2011年ですが、供給農家は年々増え続け、提携農家は現在35に上ります。

現在、桃以外にもラ・フランス、リンゴなど25アイテムを製造、販売している(写真:信州・川中島平ファクトリー)

川中島白桃を守りたい気持ちから立ち上がった加工事業

NPO法人設立の目的は、川中島白桃の畑とブランド力を守るためでした。後継者問題などにより、桃畑の宅地化が進み、このままの状況が続けば、歴史とブランド力のある川中島白桃を守れないと危機感を持った地元の有志が集まりました。

桃は収穫時期が限られていて、旬の時期も短い食べ物です。状態の良い桃を北海道や九州もしくは、離島など全国平均して送るには現実的に難しい環境にあります。そこで、同法人では限りなく旬の状態に近い加工食品を生産するという手段を採ります。

「加工食品にすれば、海外に送ることもできるし、一年中どこにいても長野の旬の状態を味わってもらうこともできます。地域ブランドを地域で守ろうということで、地域の人たちがお金や知恵を出し合って始まったのが私たちの団体になります」

同地区には、青果として出荷する農家を支援するNPO団体もあり、連携を取りながら、畑の地域継承を進めています。家族継承が難しい今、地域全体で畑を守っていこうという考え方です。宮﨑さんは若い世代を巻き込むことが重要だと考えています。

「農業ってもっとポジティブなものだという印象を与えられればいいなと思っています。若い人にちょっとでいいから興味を持ってほしい。周りの人が1人でも農業をやっていれば少しずつ伝播していきますよね。長野地域での農業に興味をもって、収獲ボランティアの募集もしているので、少しでも関わってくれる人が出るために頑張りたいです」

提携農家は35。評価が高いことから、参加したいという農家も多い(写真:信州・川中島平ファクトリー)

農家にもやりがいと使命感が

冒頭で紹介した「究極のお土産」品評会は、大手百貨店の社長や有名雑誌の編集長ら、国内でも有数の目利きが集まって審査しました。そこで高い評価を得たことで、原材料を供給している農家さんが自信を持っただけでなく、他にもポジティブな変化が表れているようです。

「市場を通して不特定多数の一つとして扱われるのではなく、うちで作った果実が加工されて百貨店や駅で売られているんだよ、と言えるようになったというのは大きいようですね。じゃあもっといいものを作らないと、自分たちのプライドが許さないと考える農家さんも多いです。今までもいい果実をつくってきたんですけど、さらに一歩踏み込んで、じゃあ減農薬に取り組んでみるとか、有機肥料をもっと使って土をよくしたりとか。やりがい、そして使命感をもって仕事をするようになったと聞きます」

将来的には、実店舗をつくったり、工場見学や農業体験もできるようにして、原材料から製品過程の一貫した流れを見たり触れたりしてもらいたいと考えている宮﨑さん。生産者と消費者の距離を縮めたい考えです。

「農家さんからは『もっといいものを作りたいから、お客さんの声をもっと聴きたい』と言われることも出てきました。今までのようにただ出荷して終わりではなくて、お客さんがどういうものを求めていて、どういう商品を売り込みたいのかということを明確に考えるようになったというのはすごく大きいです」

百貨店や飲食店からも「商品を仕入れたい」と声を掛けられることが多くなってきたといいます。本物の味を長野から全国へ。川中島平ファクトリーの挑戦は始まったばかりです。

「究極のお土産」品評会では審査員に「長野の果物のポテンシャルは高い」と言わしめたという(写真:信州・川中島平ファクトリー)

(2014/08/29掲載)

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