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わくわく・共感できる長野の元気情報を配信します!

ナガラボはながのシティプロモーションの一環です

No.076

白澤

章子さん

川中島の保健室

人とのつながりを生み出す
地域の憩いの保健室

文・写真 Chieko Iwashima

みんなが行ける、まちの保健室

「川中島の保健室」は、公立小中学校で40年間養護教諭を務めていた白澤章子さんが退職後に自宅を新築し、その一室としてオープンした”まちの保健室”です。
医者へ行くほどでもなさそうなことや、相談施設へ行くほどでもないけれど、ちょっと聴いてもらいたいという心配事を誰でも無料で相談できます。

「泣きながら来た人が、元気が出ましたって帰っていくときとか、また来ていいですかって言われたその言葉に、何かお役に立てたかなって思えます。そういう人とのつながりに一番勇気をもらってるなって思うし、私も生きてるなって感じますね」

小学校、中学校と、頻繁に保健室にお世話になっていた編集部・岩島。いざとなったら逃げ込める保健室があったから、なんとか学校に行けた時期もあったなぁ、とそんなことを思い出しました。学校の中で保健室というのは、そこだけ空気が違って、安心できる場所。それは、街の中であってもそうなのではないでしょうか。

ここを訪れた子どもたちが描いた絵や作った作品が飾ってある。「1人ひとりにいろんなドラマがあるんですよ」と白澤さん

養護教諭として見出したやりがい

白澤さんは飯田市出身。歯科衛生士になるために入学した神奈川県の短大で、歯科衛生士と養護教諭の免許も取得しました。

「本当は、歯科衛生士としてやっていこうって、夢に燃えていたんです。でも、実家の母から戻って来なさいって言われて。資格があったので、採用試験を受けて養護教諭になったんです」

少し不本意ながら養護教諭として働きだした白澤さんでしたが、その後、ある人との出会いが転機となり、養護教諭としての大きなやりがいを見出していきます。

「教員の夫と結婚して長野市に越してきて、更埴出身の坂口せつ子さんという養護教諭の大先輩と知り合ったんです。その先生は、自分が実践していることをみんなに惜しみなく教えてくれて、それを真似てやってみなさいって言うんです。ふつうは、自分の実践していることは研究発表のときのためにとっておく人が大半だったからびっくりしました。言われたとおりやってみたら、本当に子どもが先生が言ったとおりに変わって、養護教諭ってすごいって思って。あの先生に出会ったことで、私の人生は変わりました」

その後、全国のさまざまな養護教諭の交流会に参加するようになった白澤さん。3年に1度開催される「健康教育世界会議」に参加した際には、日本における養護教諭の独自性を実感しました。

「たとえば学校での健康診断は、日本以外どこの国もやっていません。海外では、養護教諭という立場ではなく、スクールカウンセラーはいるんですが、常勤ではありません」

さまざまな出会いや活動を通し、養護教諭という職業の素晴らしさを深く知っていった白澤さんは、退職後は自宅に地域の保健室を作ることを決意します。

体や性に関する本、絵本、子どもの理解のための本などがたくさんあり、1回につき5冊まで貸りられる。現役の教師が来ることも多い

予想を超える利用者数

「いろいろ場所の候補もあったんですが、自宅を新築するのと同時に一室を保健室にしたんです。新築中、支所に自宅で保健室を始めることを話しに行ったら、それは『まちの縁側』ですねって言われたんです」

「まちの縁側」とは、2007年から長野市がボランティアセンター運営委員を中心に行っている「まちの縁側プロジェクト」のこと。人と人、人と活動、人と地域がゆるやかにつながりあえる”縁側”を長野市内にたくさん作ろうというもので、5000カ所作ることを目指しています。

「そこでコーディネート力養成講座への参加を勧められて、ボランティアとはなんぞやってことを一から学びました。あれは力になりましたね。いろんな人にも知り合えたし。そこに参加するまでは、保健室なんて作っても誰も来ないよって言われたこともあって心細く思ったこともあったんですが、講座を受けているうちに、私は来る人が多いからいいとかじゃなく、人とつながっていくことが大事なんだってことがわかって、迷いはなくなりました」

そうして2009年の10月にオープン。知人のブログで紹介されたことを発端に、新聞やテレビの取材もタイミングよく舞い込み、オープンから4年間の利用者は2764人に上りました。

「最初の1年間で610人の人が来てくれたんです。その後、東京から新幹線に乗って来た人もいました。私もびっくりしたんですよ。なんでこんなにって。近所の子どもがふらっと遊びに来てくれたらいいと思っていたんですが、はじめてみたら大人の方が多くて。子どもの問題で悩んでいる保護者がとても多いというのが現実でした」

相談の内容はさまざまですが、性に関する問題が年々増加しているといいます。そのため、いつかは長野市にも性教育協会を作ることが白澤さんの目標の1つです。

いろいろな学習会や講演会、サークルなど情報がぎっしり

「退職の12年前に、性教育の海外ツアーに行ったことがあるんですが、そこで山本直英先生(「”人間と性”教育研究協議会」の設立者)に、白澤さん、長野に性教育協会を作りなさいって言われたんです。えー、どうして私が?ってその時は思ったんですが、それからしばらくしたら山本先生が亡くなられて、あのときの言葉が遺言みたいに思えて。もし私ができなくても、次の世代の人がこの場所を利用してくれてもいいと思っているんです」

全国の保健関係者からの視察も多く、川中島の保健室を参考に、さまざまなスタイルのまちの保健室が各地に誕生しています。

「今年、佐久市にはうごく保健室ができたんです。車を使って相談活動をしているんですって。昨年、宮城県から視察に来た人たちは、退職した4人で空き家を借りて交代で始めたようです」

「いずれ、長野県の各市町村に保健室を作ることが夢ですね。小さな活動が地域の基盤づくりにつながると信じています。私は私のできる小さな活動を続けていきます」

毎月1回、「お茶のみサロン」と称して地域の人が気軽に集まる会を開催。地域の人の演奏やからだとことばのミニ講演など、手作りのお菓子で和みのひと時を提供している

(2014/08/19掲載)
会える場所 川中島の保健室
長野市川中島四ツ屋1315‐12
電話 026‐284‐8220
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