ナガラボ ながの市の元気研究所

ナガラボとは!?

<兄弟の絆で育む絶品料理>

青色の外観が印象的な店構えは、将司さんが一目惚れしたというフランスのレストランをイメージしたそう。窓ガラスにはにぎやかなイラストもおいしくて手の込んだ料理を食べると、しみじみと幸せを感じます。2013年7月に昭和通り沿いにオープンしたフレンチ&イタリアン料理店「kuland②(クランド)」も、そんな幸福感を抱かせてくれるお店です。営むのは、それぞれにフランス料理とイタリア料理に腕をふるう兄・渡辺将司さんと弟・渡辺陽介さん。パリのレストランのような青色の外観が目を引く建物の扉を開けると、オープンキッチンの中から笑顔の渡辺兄弟が迎えてくれます。

昔から一緒にスノーボードに行くなど、仲が良かったふたり。自分たちの店を持つことは長年の夢だったのかと思いきや、そうではないのだそう。


一枚板の大きなテーブルが中央に置かれた店内。木の温もりがあふれる空間に、大きな窓から自然光が差し込む「何かの拍子に『そろそろ店でもやろうか』という話になったんですよ。最初はジャンルも違うし別々に、と思っていたんですけど、ちょうどその頃、俺も修業先から長野市に戻ってきていて、ちょうどいいなと。もっと勉強をしたほうがいいかも、という思いもありましたが、タイミングですね」(陽介さん)

「それで『やるかやらないか』を迷う感じではなく『やろう』と決まって、それに向かっていった感じです」(将司さん)

そう話すふたりは、とにかく変な気負いがなくてあくまでナチュラル。「店のロゴや料理のメニューを決めるときも自然な流れで決まってしまう」そうで、まさに"つうかあの仲"といえます。姉妹に囲まれて育った私には、そんな兄弟の仲睦まじさが新鮮に輝いて映ります。


<信頼感から生まれる「kuland②」の魅力>

昼どきは陽介さんが作るパスタランチを中心に、最近は肉料理のメニューも並ぶ「kuland②」。夜は全体のバランスを見たうえで、ふたりがそれぞれに作りたいものや食べたいものなど、好きな料理を手頃な価格で提供しています。

左上から、将司さんが作る「シュークルート・ガルニ(2300円)」と「仔羊のロースト(2500円)」、陽介さんが作る「イカスミのパスタ(1400円)」と「前菜盛り合わせ(1600円)」※写真はイメージです「料理は素材を邪魔することなく、お手伝いをする気持ちで作っています。心がけているのは、何をするにも妥協をせず嘘はつかないこと。『これでいいや』ということは絶対にないようにしています」

そう話す将司さんの言葉通り、「kuland②」の料理はどれも素材の持ち味を生かした味付けで、奇をてらうことなくシンプル。そのうえで、1つひとつの料理はとても丁寧に作られている印象を受けます。また、陽介さんは「常にイタリア人だったらどうするか」を考えて料理に向かっていると言います。

「シンプルだけど旨さがあるのがイタリア料理の魅力です。だから妙なオリジナリティーは出したくなくて、常にどこかに伝統的なものを入れていきたいと思っています」

信頼するシェフのすすめからフランス料理の世界に入ったという将司さん。「できることならお客様とすごく仲良くなりたい」と話す通り、笑顔あふれる明るい接客も評判こうした言葉の背景には、ふたりともそれぞれに、本場のベルギー(フランスの隣国であるベルギーの南部ではフランス料理が根付いている)と、イタリアのシチリア島で研修を積んだ経験があります。

「現地の料理を実際に見ることができたのは大きかったですね。本場の食文化に触れることは、その料理を続けていく以上、必要なことだと思っています」(将司さん)

だからこそ、お互いが出す料理には自信を持っていますし、食材の使い方や完成までのアプローチの仕方などはそれぞれに勉強にもなっているそうです。また、ふたりの言葉の端々からはお互いへの信頼も感じることができます。

小学校の頃から料理人の道を目指していたという陽介さん。長野市のイタリアンの先駆的名店「トラットリア・ジョイア」などを経て「kuland②」をオープンした「よく、お客様から『ジビエ料理は臭い』と敬遠されることがあります。でも(兄が作った)ジビエ料理を食べていただくと、皆さんに『香りはあるけどおいしい』と言っていただけるんですよ」(陽介さん)

将司さんもこう話します。

「陽介のサービスはお客様に入りすぎず、あまり壁も作らずに接するので、ファンが多いんです。料理がおいしいのは当たり前として、お客様がお店に足を運ぶ理由は、やはり『人』ですからね」

こうしたきっぱりとした言葉は、深い信頼関係があってこそ。それに、将司さんの「サービス」という言葉にも表れている通り、ふたりは接客や店の雰囲気づくりも重視しています。

「とにかくガヤガヤとにぎやかな店にしたかったので、長野駅からは多少離れていても、ある程度の広さがあるこの物件を選びました。ここでいかに居心地のいい空間を作り、家族や恋人、友だちと来店されたお客様が『今日はすごく楽しかったね』と言っていただけるか。そんなことを考えながら店づくりをしています」

 

<両親の店のように長く愛される店へ>

写真からも仲の良さが伝わる渡辺家族。将司さんと陽介さんは喧嘩をしてもお互いに引きずらない性格で、すぐに仲直りするのだそうところで「kuland②」は「クランド」と読みますが「②」って何? と気になる方もいらっしゃるのでは。実はふたりの両親は、長野市の洋食屋の草分け的存在である「Food Barくらんど」を権堂で37年間営業しています。「kuland②」の店名には、そんな両親の店への尊敬の念も感じられます(②はローマ字のO〈オー〉で「2」は発音しません)。

「時代の波もあるなかで、店の形態を変えたりもしながら、長年、店を続けてきたのはすごいことですよね。だから『kuland②』という店名をつけることで、それぞれの店のお客様にもう1店舗があることを知っていただき、足を運んでいただけるとうれしいですね」

そんなふたりに対し、両親は「もっとおしゃれな名前をつけると思っていたからびっくりした」と話しますが、やはり自分たちと同じ道に進んだことに対するうれしさとともに、誇らしさや頼もしさも感じているようです。

「私は妻の支えもあったけど、料理の面では長年ひとりで踏ん張ってきました。でも、兄弟ふたりだったら倍以上の力になる。それに、親の私から見ても本当にセンスがある素敵な店づくりをしたと感心しますし、ふたりは"バカ"が付くほど作ることが好きで料理に熱心なんですよ」(父・秀夫さん)

落ち着いた雰囲気の「Food Barくらんど」。「kuland②」を開く前は兄弟ふたりでここに来て、お酒を飲みながら父からのアドバイスを受けたり、商売をするにあたっての経験談などを聞いたというその言葉が物語るように、陽介さんは「お客様からよくおすすめ料理を聞かれるんですが、すべてを全力で作っているから全部がおすすめ」と言います。確かに「kuland②」の料理は何を食べても思わず唸ってしまうほどおいしく、食べ終わるのがもったいないと感じるほど。それに、こうした料理人の自信があるからこそ「自信を持っておすすめしたい店」にもなります。

ここ数年、長野市では高い評価を得る本格的なイタリアンやフレンチレストランが続々とオープンしています。そのなかでも、その両方が気軽に楽しめ、細部まで気が配られた丁寧な料理で、毎回おいしいものを味わったときの幸せを感じさせてくれる「kuland②」。両親の店がそうであるように、きっとここもまた長野市の地で長く愛される店になっていくことでしょう。

(2015.11.20 掲載)

会える場所:kuland②

長野市上千歳町1155-2 ハヤシビル1F
026-219-3681
http://kulando.jugem.jp/

Food Barくらんど
長野市上千歳町1427 まるに亭ビル1F
026-235-3606

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