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No.268

沢井

美和さん

声のお仕事「mimmit」 アナウンサー

好きこそものの上手なれ。
「声の仕事」の可能性を追求

文・写真 島田浩美

相手の魅力を引き出しプロジェクトを支える「声の仕事」

アナウンサーやナレーター、リポーター、ラジオDJにイベントの司会など、声にまつわる仕事はさまざまなものがあります。表舞台に立つだけでなく、留守番電話や館内放送、店頭プロモーション用の録音など、普段見えないところからも私たちの生活を支えている「声の仕事」。そんな仕事に携わっているのが、フリーアナウンサーの沢井美和さんです。

これまでにテレビ信州の情報番組『ゆうがたGet』のリポーターを10年間務めたほか、FM長野の『countdown hits radio』といった人気ラジオ番組のパーソナリティーも担当していた沢井さん。最近では、長野朝日放送「今が旬! 信州産を食べよう」のナレーションを務めるなど、その声は一度はどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。

声の仕事だけでなく、イベントの流れや人の動きも踏まえた提案をし、イベントを影から支えている

「アナウンサーというと、目立つ仕事で、自分のパーソナリティーを発揮して司会業をこなしたり、自らの魅力で相手を幸せにする仕事をするようなタレント性が強い人もいます。でも、私はどちらかというと、自分の個性を出すのではなく、相手のいいところを引き出したり、そのプロジェクトの成功のために努力をするタイプ。そのためにも、相手の希望や幸せに寄り添うためにはどうしたらよいかをいつも考えています。そうするなかで、人の心に寄り添える瞬間があるのがこの仕事のやりがいですね」

例えば、結婚式の司会であれば、新郎新婦やご両家、スタッフの気持ちをまとめられるのが自分の立ち位置だと考え、すべての人にとってよりよい形を追求していくのだそう。さまざまな意見や考えがあるなかで「画策するのはおもしろい」と沢井さんはいいます。

ベントの司会を務めることも多い沢井さん。かつて、2時間ほどの芝居の舞台転換では役者としてナビゲーター役を務めたこともあるという

熱心なリスナーから「声の仕事」の世界へ

実は山口県出身の沢井さん。小学生のころからラジオが好きで、’80年代のFMブームもあって、ラジオパーソナリティーやDJに憧れていたといいます。なかでも、地元FM局で、大学生DJから同局のアナウンサーになった女性DJに強い憧れを抱き、彼女がパーソナリティーを務めるラジオ番組にハガキを出し続けていたのだとか。そして、高校生を卒業して地元国立大学に進学した際には「大学生になってラジオ局の近くに住んでいます」とハガキを出したのだそう。すると、ちょうどそのころ、局内に大学生向けの音楽番組を作ろうという企画があったことから、「ずっとラジオを聴いているこの子をアシスタントに起用してはどうか」という意見があがり、沢井さんに誘いの連絡がきたそうです。こうして、週1回の音楽番組の収録アシスタントになり、人生で初めてマイクの前でしゃべるという経験も果たしました。

2015年の善光寺御開帳の際にセントラルスクゥエアで行われたイベントステージでも司会を務めた。「mimmit」では将来、みんなでイベントで歌うなど、エンターテインメントのステージでの出演も夢見ているとか

「この経験ですっかりこの仕事に夢中になってしまって、アルバイトとしてラジオ局経由で番組ADをやったり、周りの制作会社で働いたり。そのうちに、学生のうちからキャラクターショーのお姉さんや、コンサートの影アナ(お客様に見えないところからの場内アナウンス)、店内放送や留守番電話の声など、細かい声の仕事がアルバイトで入るようになりました」

就職活動ではアナウンサー試験に合格しなかったものの、大学4年時に地元テレビ局が手がける夕方の情報番組のリポーターオーディションに合格し、週に数回、このリポーターバイトを始めたことに加え、FM山口との付き合いも続き、単発の声の仕事も受けていたので、「アルバイト生活でも食べていける」と考えた沢井さんは、ほかの仕事に就くことは全く考えていなかったそうです。

シンプルに「声」だけで勝負するナレーションは、沢井さんにとって今後もっと磨きをかけていきたい分野。夢は全国放送の番組を担当することだそう

結婚を機に長野に。そして「mimmit」立ち上げへ

大学卒業後も変わらず声の仕事を続けていた沢井さん。1998年、25歳のときに、結婚を機に夫の転勤先である長野市へと移住しました。しばらくはのんびりと暮らしつつも、FM長野でパーソナリティーオーディションを受けると、その伝(つて)からCMや単発の番組リポーターの仕事が入るように。さらに、その紹介という形で仕事の幅が広がり、縁あってテレビ信州『ゆうがたGet』の番組リポーターにも選ばれました。

「この仕事は、普段、自分の人生ではなかなか関わり合いにならない人たちと出会えるチャンスがあります。それは有名人に限らず、地元の人や一般の人との出会いでもそう。その出会いのなかで自分の考えを改めたり、人生の勉強になることはたくさんありましたね」

こうした日々を経て、10年を区切りとして、2009年に『ゆうがたGet』のリポーターを卒業した沢井さん。「これからどうしようか」と考えていたときに、元テレビ信州アナウンサーの浅井みどりさんと話し合う機会があり、「グループになったら仕事がしやすいかも」という結論に至りました。

「同世代や後輩のなかには、30歳前後で結婚・出産し、一度現場を退くと戻るチャンスがほとんどなく、子どもがいるとフリーでバリバリ働けるともいえない人たちがいて、もったいないな、と思っていました。それに、私も(こう見えて)シャイですし、自分一人で営業するのは気恥ずかしさがあったんです。でも、後輩や元同僚とグループになって『お願いします』というなら、自分もみんなも営業しやすいかな、と思ったんですね」

こうして、長野県内で活動する女性MC・リポーターで作るグループ「mimmit(ミミット)」が誕生。2010年5月に、テレビ信州時代の後輩も加えて4人でブログを立ち上げ、今ではメンバーが10人前後に増えました。

レギュラーの仕事を離れたことで「よりプロであろう」と思った沢井さん。その分、健康には留意するようになり、特に喉は大事に考えるようになった

「結婚や出産をすると、どうしても夫側の冠婚葬祭には欠席できなかったり、子どもが病気になることもあります。グループになると、そういう場合もピンチヒッターが出せますし、仲間内で声をかけやすいというメリットもあります」

レギュラーの仕事から離れたことで、局から直接仕事が入るチャンスがなくなった分、「よりプロであろう」と思うようになったという沢井さん。そんな思いも「mimmit」結成の原動力になっているのでしょう。そんな沢井さんに今後の目標を尋ねると、こんな答えが返ってきました。

「イベントを企画する人のなかには、自分たちの力で司会やMCをしようと頑張る方がいます。でも、やはり専門職は一般の人とは違うところに目端が効くもの。例えば、人の動線の流れも、私たちならこれまでの経験を踏まえた提案ができます。費用の問題もあるかと思いますが、いわれたことだけをやって終わることはないので、プロに仕事を任せてほしい気持ちはありますね」

さらに、業界に対しても大きな目標を掲げています。

「地方局でも、賞を狙って制作する番組は予算に余裕があり、東京のアナウンサーに仕事が回ってしまいます。それに、私は長野五輪のときに初めて長野県にきましたが、東京のアナウンサーが活躍していて悔しい思いもしました。声の仕事も『地産地消』。ただ、そのためには私たちも『東京よりもいいね』といわれるようにクオリティーを上げていかないといけません。仲良しグループで終わらず、個々の意識を上げて、業界の底上げをしていきたいですね」

力強く、しかしあくまでも自然体でこれからの夢を語ってくれた沢井さん「mimmit」を通じて、ほかにはない自分たちのやり方で、長野の”声の文化”を豊かにしていきます。

30~40代のメンバーで成り立っている「mimmit」。仕事のことだけでなく、子育てや家族のこと、ご近所付き合いのこと、身体のことなど、なんでも相談し合える姉妹みたいな間柄

(2015/09/08掲載)

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