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No.243

木村

真也さん

OND WORK SHOP 店主

シンプルで、長く使えて、
味が出てくるものを

文・写真 安斎高志

「温度が宿ったらいいな」

昨年10月、善光寺門前のかつて布団屋だった空き家が息を吹き返しました。築70年のその建物に入ったのは、革ベルト・革小物のアトリエ兼店舗。店名は「OND WORK SHOP(オンド・ワーク・ショップ)」といいます。ONDは”温度”からとりました。

「贈り物をするときって、その人のことを思って、色々と考えながら選んだ方が楽しいし、もらった方もうれしいですよね。物に “温度”が宿ったらいいなと思って。シラフでこれを話すのは、とても恥ずかしいんですが(笑)」

店主の木村真也さんは、はにかみながらそう話します。

「生き物の素材を使っているので、極力、素材を無駄にしないで、長く長く使える物を作りたい」と話す

店内には、ベルトや名刺入れなど、シンプルで味わい深い革製の小物が並びます。それらのほとんどは手縫いによるもの。

「手縫いは、糸が太いので丈夫ということもあるんですけど、一度穴を開けてから糸を通していくので、もし糸が切れても修理がしやすいんです。縫い方ってそんなに難しくないので、仮にこの店がなくなったとしても、お客さん本人だとか、ちょっと革細工を学んだ人なら直せる工程なので、極力手縫いでやってます。もちろん、長く続けていくことが目標ですけどね(笑)」

自分の店がなくなったときのことまで考えているとは。木村さんの言葉からは、人柄がにじみ出ます。

シンプルで、長く使えて、味が出てくるもの。その3つだけに気を付けているという

こだわりのある店に刺激を受けて

木村さんは専門学校でグラフィックデザインを学んだ後、東京・浅草にある老舗のベルトメーカーに就職します。

「インターネットで企画開発の部署の求人を見つけて、思わず応募しました。自然のものを素材として扱うというのが引っかかったのかもしれません」

企画開発部は木村さんと上司の2名だけだったため、1年目からさまざまな仕事を任せてもらえたといいます。商品の企画からデザイン、試作品の研究までを自ら手掛け、忙しいながらも充実した日々を送ります。しかし、物作りに打ち込むほど、少しずつ疑念がわきます。

「海外に工場があって、大量に生産するという会社だったし、お客様は商社や問屋さんだったので、買ってくれる人と接することがまったくなかったんです。傷が入ったものは無条件ではじかれる場合があったのも違和感がありましたね」

入社10年を迎え、木村さんは会社を退職。地元の飯山市へ戻ってきました。そして、ぶらぶらと馴染みのある長野の街を歩いているうちに、離れている間の10年で起きた変化を感じます。こだわりのある店が増えていることに刺激を受けた木村さんは、自分もお店を始めたいと思うようになり、約半年の準備期間を経てOND WORK SHOPをオープンさせました。

商品は、ほぼ手縫い。丈夫で長持ちするほか、修理がしやすいという利点もある

温かい魅力を放つ商品、店主そして店内

味わい深さを感じさせるのは商品だけではありません。70年以上の歴史を持つ柱や床はもちろん、什器類も年代物が並びます。

「味が出ている古い建物も、いつからか好きになっていましたね。古い家具とか道具も、革が時間を経て変化していくのと共通するところはあるのかなと。そういうところでやりたかったんです。自分も楽しいし、お客さんも楽しいかなと思って」

最初はお客さんがほとんどこなかったと苦笑いしながら振り返る木村さんですが、心配してくれた友達がやって来て、さらにその友達を呼び、そしていつしか輪は大きく広がっていきました。最近は、若者からお年寄りまで幅広い層が来店します。

「(会社員だったころと違って)使う人が直接、来てくださって、ここで話をして、本当はどういうものがほしいかとか、どういう気持ちで来ているかとかを聞きながら、そして雰囲気なんかも汲み取りながら作れるので、それがすごくやりがいになっていますね」

“シンプルで、長く使えて、味が出てくるものを”。その3つだけ気を付けて製作に当たっていると話す木村さん。商品と店主、そして店内、どれもが自然体ながらも、温かい魅力を放っていました。

バックルと革の組み合わせを選べるセミオーダーが人気

(2015/06/04掲載)

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会える場所 OND WORK SHOP
長野市田町2417
電話 026-477-2496
ホームページ http://ondworkshop.kim
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